施工上の注意(プレス式工法)
- 2023.08.29
- カテゴリ: 施工|Construction
|アフター管理
品質とは、本来備わっている製品の性能であって、それを満たしていることです。
それ故に、品質保証に関しても、製品に起因することだけに焦点が当たる傾向にあります。逆に、その品質が備わっていなければ、顧客が求める製品と合致しないことになります。
ベンカンでは、TQM(総合品質マネジメント:Total Quality Management)による品質保証体制の構築に取り組んでおります。
TQMとは、製品の品質管理ばかりではなく、上流の源流管理から下流のアフター管理までの品質をトータルでつくり込みを行うことです。
特にベンカンが扱う配管継手であるメカニカルジョイントは、製品単品では、配管として成立しません。
施工業者様の手によって、施工されることで、初めて配管として完成します。
それを考えたら販売してから施工完了するまでのアフター管理の重要性が高いビジネスモデルであるといえます。
人間の行動特性に、計画された一連の活動の中で、意図した結果を得ることの妨げとなる予期せぬ行動、つまり、ヒューマンエラーがあります。
アフター管理では、このヒューマンエラーが施工時に発生させないことが重要な使命の一つとなります。
|プレス式継手の施工上の注意
ベンカンのメカニカルジョイントは、その接合方式によって、「プレス式継手」、「拡管式継手
」、「ワンタッチ式継手
」に分類されます。
各方式の継手は、それぞれに異なる特徴を持ち合わせていますので、施工上の注意点も違ったものになります。
ここでは、プレス式継手の施工時に発生する可能性のあるヒューマンエラーについて探ってみます。
対象の製品は、一般配管用ステンレス鋼鋼管(JIS G 3448)対応の「モルコジョイント」、「ダブルプレス
」、建築配管用銅管対応の「CUプレス
」、樹脂管対応の「JPジョイント
」、冷媒配管銅管対応の「冷媒ダブルプレス(2023年9月発売予定)」となります。
プレス式継手の施工時に発生する代表的なヒューマンエラーです。
① ゴムリングに傷をつける
プレス式継手は、内臓されているゴムリングが、専用締付工具でプレスされることで圧縮されてシールします。
そのゴムリングに傷を付けたり、切断することでリークすることになります。
② パイプの差し込む不足
パイプが継手の奥の正規位置まで差し込まれていない状態を表します。
この状態でプレスをしてしまうと、耐圧力や引き抜け阻止力が落ちてしまい脱管する可能性があります。
③ プレス忘れ・プレス箇所違い
パイプを差し込んだだけでプレス作業を忘れたり、指定位置と違う箇所をプレスして、施工を行ったように錯覚してしまいます。
プレス式継手は、ゴムリング部をプレスすることで、流体をシールしますので、水圧を掛けるとリークすることになります。
|対応策
代表的なヒューマンエラーによる対応策をご紹介いたします。
① ゴムリングに傷を付けない
パイプの切断面のバリは、リーマーやヤスリで除去してください。
パイプは、継手に対して、斜めにならないように、真っ直ぐにゆっくりと差し込みます。
仮に差し込み難い場合には、無理に差し込むことは絶対にせず、一旦、引き抜いて内部の状態を確認してください。
また、別売の指定の潤滑スプレーを使用することも推奨します。
② パイプの差し込み不足防止
専用のラインマーカーで差し込み代をマーキング(けがき)して、差し込み状況を目視で確認してください。
また、ダブルプレスには、仮にパイプの差し込み不足であった場合でも、水圧試験で異常がなければ、脱管することなく充分な性能(SAS322)を発揮します。
③ プレス忘れ・プレス箇所違い防止
プレス作業後の六角ゲージによるプレス確認とチェックマークの実施を推進します。
また、モルコジョイント、ダブルプレスに採用されているセーフティー凹凸リングは、保温工事および埋め戻し前の水圧試験時に異常を発見し易くします。
また、施工前には、お客様のご都合と調整させていただき、営業スタッフが施工講習会を開催させていただきます。
通常の流れとしては、施工マニュアルに記載されている施工手順に沿ってご説明させていただきます。
また、実際に作業で使用される専用締付工具を用いて、正しいプレス作業を実際に体験していただきます。
その上で、これまでのヒューマンエラーによる施工不適合の事例や対応策など、特にご注意いただくべきところは時間を割いたり、何度も繰り返させていただくようにしております。
尚、施工講習会の開催は、ベンカンの各営業所にご相談ください。