冷媒配管
- 2019.06.15
- カテゴリ: 製品|Products
|冷媒配管
配管とは、パイプや継手などをトータル的に設計して、液体や空気といった流体を、目的箇所まで適切に配送するシステムのことです。
その用途は様々であり、当然、配管も、その用途によって仕様が異なってきます。
そして、エアコンの室内機と室外機をつなぐ役割を担っているのが、冷媒配管となります。
冷媒配管には、熱を運ぶ役割をしている冷媒ガスが使用されております。
従来、CFC(クロロフルオロカーボン)、HCFC(ハイドロクロロフルカーボン)などが冷媒ガスとして広く使われておりましたが、オゾンを破壊する特定フロンと指定され、全面廃止となっています。
現在は、オゾン層を破壊しない代替フロンと呼ばれるHFC(ハイドロオロカーボン)が使用されるようになっております。
しかしながら、一般的な空調配管とは異なり、特殊な配管であることから高圧ガス保安法、冷凍保安規則などの規定が関わってくる特殊な配管であると言えます。
よって、冷媒配管工事においては、次の三原則が重要視されております。
- 気密(配管内で漏れがあってはならず気密状態がまず保たれてなければなりません)
- 清潔(機器の故障、内部の凍結・結露をさせないよう水分を入れない)
- 清潔(ゴミなどを配管内部に侵入させない)
配管材としては、一般的に銅管(JIS H3300 C1220T 規格品)に断熱材(JIS A9511 A-PE-C-2 準拠)が被覆された空調冷媒用被覆銅管が使用されています。
また、価格や調達が安定しないことも少なくない銅管の代替材として冷媒配管対応のアルミ管の研究も進んでいます。
|エアコンの仕組み
エアコンとは、エアコンディショナー(air conditioner)の略で、室内を冷房したり、暖房したりする空調機です。
その仕組みで重要となるのが冷媒ガスの働きです。
冷媒ガスは圧力をかけると液体になり、圧力を下げると気体となります。
冷房時には、室外機で冷媒ガスに圧力を掛けて、気体から液体となって外気に熱を放出します。(凝縮熱)
冷却されて液体となった冷媒ガスは、室外機と室内機をつなぐ配管を経由して、室内機に移動した後に気体になって熱を回収して室外機に戻ります。
つまり、冷えた冷媒ガスに熱を奪われることで、室内が冷える仕組みです。
暖房時には、まったく逆の仕組みとなります。
室外機で冷媒ガスの圧力を下げて液体から気体として、外気から熱を回収します。(蒸発熱)
熱を得た冷媒ガスは、配管を経由し、室内機に移動して、気体から液体になって熱を放出して室外機に戻ります。
この様に冷媒ガスを介して、熱交換することで、室内を冷房したり、暖房したりするのがエアコンです。
従来、中小事務所ビルでは、パッケージエアコン(業務用エアコン)にて、ビル全体の室内機をフル運転していました。
しかし最近では、必要な室内機のみを運転が可能なビルマルチ空調方式のエアコンの導入が進みつつあります。
また、昨今の地球温暖化の影響もあって、従来、エアコンの需要が低かった北海道や熱中症の危険性がクローズアップされたことによって小中学校や老人福祉施設などへの普及が加速すると言われております。
|メカニカルジョイント
空調冷媒用被覆銅管の接合方式は、基本的にロウ付溶接です。
ロウ付溶接とは、前処理した銅管を継手に差し込んで、継手とパイプの隙間に熱で溶かしたロウ材を流し込むことで接合します。
しかし、ロウ付溶接は、作業者の技量によって接合品質を安定させるのが簡単ではありません。
実際、熟練工不足・施工技術の未伝承からくるガス漏れ事故や火を使う作業現場での火災事故など施工品質を維持するのが難しくなっているのも事実です。
エアコンの設置は新築工事の中でも比較的後半に行われます。
また、エアコンは機器でもあることから、リニューアルや故障による交換も考えられます。
そうなると内装等との関係もあり、火気の使用による引火による火災の危険もあって、非常に気を使う工事となってしまいます。
その様な事情から普及して来ているのが火なし継手とも呼ばれるメカニカルジョイントです。
メカニカルジョイント(mechanical joint)とは、機械式接合の管継手のことです。
特徴は、ゴムシール材等の密着によって接合部の止水を行う構造や専用工具等を使用して接合することで、接合品質の均一性が可能なところです。
冷媒配管工事も含めた建設業界では、労働力不足が大きな問題となっています。
メカニカルジョイントは、ロウ付溶接の接合作業と比べ工期短縮と施工費の減額が可能となります。
また、火気を使用しない火なし継手ですので、火災の心配がありません。
現在は、専用締付工具でプレス接合する方式、ナットを締め付けることで接合する方式、差し込むことで接合する方式など、様々な方式の冷媒配管対応のメカニカルジョイントが発売されております。
しかしながら、付属パーツが多いことから、管継手単体の価格が割高になる傾向にあるのが課題となっています。
Takehiko Wagatsuma