施工上の注意(ワンタッチ式)
- 2023.08.31
- カテゴリ: 施工|Construction
|アフター管理
品質とは、本来備わっている製品の性能であって、それを満たしていることです。
それ故に、品質保証に関しても、製品に起因することだけに焦点が当たる傾向にあります。逆に、その品質が備わっていなければ、顧客が求める製品と合致しないことになります。
ベンカンでは、TQM(総合品質マネジメント:Total Quality Management)による品質保証体制の構築に取り組んでおります。
TQMとは、製品の品質管理ばかりではなく、上流の源流管理から下流のアフター管理までの品質をトータルでつくり込みを行うことです。
特にベンカンが扱う配管継手であるメカニカルジョイントは、製品単品では、配管として成立しません。
施工業者様の手によって、施工されることで、初めて配管として完成します。
それを考えたら販売してから施工完了するまでのアフター管理の重要性が高いビジネスモデルであるといえます。
人間の行動特性に、計画された一連の活動の中で、意図した結果を得ることの妨げとなる予期せぬ行動、つまり、ヒューマンエラーがあります。
アフター管理では、このヒューマンエラーが施工時に発生させないことが重要な使命の一つとなります。
|EGジョイントの施工上の注意
ベンカンのメカニカルジョイントは、その接合方式によって、「プレス式継手
」 、「拡管式継手
」 、「ワンタッチ式継手」に分類されます。
各方式の継手は、それぞれに異なる特徴を持ち合わせていますので、施工上の注意点も違ったものになります。
「ワンタッチ式継手」の施工上の注意を最近の事例を基に促させていただいております。
対象の製品は、ステンレス鋼鋼管対応の「EGジョイント」となります。
EGジョイントには、一般配管用ステンレス鋼鋼管(JIS G 3448)対応の「Suタイプ」と配管用ステンレス鋼鋼管(JIS G 3459)対応の「Aタイプ」があります。
EGジョイントの最大の特長は、専用工具が不要で、継手本体にパイプを差し込むだけで接合が完了することにあります。
非常に施工性に優れた製品ですが、それだけに次の注意点は確実に守っていたくようにお願い致します。
◇施工時の5大注意事項◇
①パイプの切断
一般配管用ステンレス鋼鋼管(JIS G 3448):ロータリーカッタで切断してください。
配管用ステンレス鋼鋼管(JIS G 3459):ハンドソーで切断してください。
②パイプの切断面の面取り
パイプの切断面は、リーマーやヤスリ等で面取りしてください。(C 0.5)
③シリコンスプレーをパイプに塗布する。
パイプの差し込み面に、シリコンスプレーを塗布してください。
④ラインマークまでパイプを差し込む。
パイプにラインマーカーで差し込み代をマーキングして、パイプのラインマーク(差し込み代)まで、継手本体にゆっくりと差し込んでください。
⑤配管が曲がらないように支持・固定する。
配管に異常な力が加わって曲がらない様に配管を支持・固定をしてください。
また、EGジョイントのは、回転稼働機能がありません。
角度調整程度は問題ありませんが、極端な角度や頻繁に回転させるなどすると、内臓されたシール材が捻じれたり、切れたりして漏水する可能性がありますのでご注意ください。
また、EGジョイントの構造上、継手が水中に没する配管、雨ざらしの箇所、その他、継手が水(上下水、雨水結露、洗浄水など)で濡れる可能性がある配管には使用できませんのでご注意ください。
基本的にEGジョイントは、屋内配管用の継手です。
|施工の不適合事例
実際の現場で見られた、施工の不適合事例をご紹介します。
差し込み不足による不適合ケース(左)です。
パイプの差し込み状況を確認すると正規位置から13mmもの差し込み不足(右)であることが判明しました。
差し込みしろがマーキングされていませんでしたので、水圧をかけた時点での発見となってしまいました。
次に、パイプの切断面の処理が不適切であったための不適合ケースです。
左側は、面取り不足のために切断面の角が立っています。
右側はロータリーカッターでの切断時に、早く切断しようと強引に刃を送ったためか管端が偏平しています。
この様な切断処理の不備のパイプをそのまま継手本体に差し込んでしまうと、シール材(ゴムリング)を切ってしまったり、適正のシール効果を得られない場合があります。
一般配管用ステンレス鋼管(JIS G 3448)ならば、切断する際には、必ず、ロータリーカッターをご使用いただくことをお願いいたします。
その上で、シール材を傷つけたり、切ってしまわないように、切断面の面取り処理を必ず行ってください。
加えて、パイプを継手に差し込む際は、必ずシリコンスプレー塗布していただき、仮に通常よりも硬い感触があった場合は、そのまま強引に差し込むのではなしに、一旦、パイプを抜いていただき、継手中のゴムリングの状態を確認していただける様にお願いいたします。
その他、差し込み式継手に限ったことではなく、共通事項として最近、増えている注意点もご紹介します。
左側は異なる規格のアダプター(ねじ)を接合したために生じた漏れ水事例です。(平行ねじである水栓ねじに、テ-パ-おねじを接合)
右側は、シール材適用不備による漏水事例です。(液状シ-ル材とシールテープを併用した場合、各々の性能が発揮されない場合があります。)
尚、ここでご紹介した施工上の注意は、あくまでも事例を元とした一部でしか過ぎません。
実際には、必ず、弊社による施工説明会を受講していただき、それに則った施工をしていただくことをお願いいたします。
今後も、より良い製品づくりと、正規取り扱いのご説明に努めさせていただきますので宜しくお願い申し上げます。
篠田 直明(Sasata Naoaki) 執行役員(製造部・技術部 管掌)