マネジメント「スピード経営」
- 2019.12.20
|マネジメントサイクル
組織の目的を果たすための機能がマネジメントです。
このマネジメントを開発したとされるピーター・F・ドラッカーは、「マネジメントは、組織に特有の使命、すなわち、それぞれの目的を果たすために存在する。」と示しております。
企業の目的を果たすためにマネジメントを機能させる上で、重要なのが、「チャレンジ性の高い業務に継続的に取り組む」ことであるといわれます。
目的あるいは目標とは、現時点より高みの目指すものである以上、チャレンジ性の高い取り組みとなります。
当然ながら、チャレンジ性の高い取り組みは、容易に成功へと結び付けることはできません。
それを諦めずに継続的に取り組むことが出来るか否かが、成功する者としない者の岐路となります。
この継続的に取り組むための手法の代表がマネジメントサイクルとも呼ばれる、PDCAサイクルです。
PDCAとは、Plan(計画)、Do(行動)、Check(評価・検証)、Action(改善行動)の頭文字とったものです。
そもそも計画(P)は、チャレンジ性がなければなりませんので、未知的で、かつロジカルな仮説の上に成り立っています。
しして、行動(D)は、計画(P)を評価・検証(C)するために行われます。
正しい評価・検証(C)は、計画(P)に基づいた行動(D)があってこそ成り立ちます。
そこから、質の高い改善行動(A)に結び付けることが可能となります。
改善行動のActionですが、Adjustに置き換えて調整行動と取る考え方もあります。
以上からも、PDCAサイクルを回す度に、行動の質は高まり、成功へと近づくこととなる訳です。
故に元に戻るサイクルではなく、スパイラルアップすることからもPDCAスパイラルと表現される場合もあります。
|爆速経営
以前、「爆速経営」という書籍を読みました。
安定を求める組織(つまらない組織)は何れ衰退するとの危機感から改革をスタートさせた大企業の経営改革の500日が綴られた内容でした。
その組織の問題は、大きく3つです。
(1) スピード感の欠如
過剰なリスク回避志向は、決断の遅さを招き、成長するためのビジネスチャンスを逃した。
(2) 過度なリスク回避志向
保守的な体質は、リスク回避志向を増長させ、組織の風通しの悪さを招いた。
(3) 組織の風通しの悪さ
経営と現場、あるいは部門間の意識のズレは、スピード感のある優秀な人材を失った。
現在、この企業がどうなっているのかは、別問題として、この書籍から学んだことは、「脱皮できない蛇は死ぬ」というメッセージにこめられています。
それは、環境が変化する以上は、現状維持を求めてても、現状維持すらもおぼつかないという現実です。
そのために必要なのは、マネジメントサイクルであるPDCAサイクルを継続的に回すことであり、それも、スピード感のある爆速で回すことなのかと考えます。
|OODAループ
経営には如何に速さが大切かは、「爆速経営」などを通じて学びました。
しかし、速さとは、ある意味、諸刃の剣であり、常に何かと天秤を掛けなければなりません。
リスクマネジメントの一環で、近年、米国のビジネスで取り上げられることが多くなっているといわれる「OODA(ウーダ)ループ」という概念を学びました。
元々は、朝鮮戦争時に米軍の戦闘機パイロットが考案したものだそうです。
O(Observe:情報収集・観察)
O(Orient:状況判断・情勢適応)
D(Decide:意思決定・決断)
A(Act:行動・実行)
勿論、ループですので、単発ではなく、O → O → D → A → O → D → A ・・・と繰り返すことになります。
そして、注目すべきは、そのスピードです。
戦争中の戦闘機のバイロットが、自分の置かれた状況の「情報収集・観察」を行い、「状況判断・情勢適応」を瞬時に行って「意思決定・決断」を行い「行動・実行」に移さねば、どうなるのかです。
結果は明白です。
勿論、それが無暗に速ければ良い訳ではありません。
O(Observe:情報収集・観察)
①目的意識:目的が曖昧であったり、なければ、有益な情報を収集することはできません。
②問題意識:問題の事象は当然ながら、その原因を意識して可視化させることが質の向上を促します。
③危機意識:危機に直面してからの場当たり対応ではなく、常に危機を想定した情報の収集が重要となります。
O(Orient:状況判断・情勢適応)
最善を尽くすためには、例えば「虫の目・鳥の目・魚の目」などといわれるように、様々な切り口で状況を推し量る必要があります。
D(Decide:意思決定・決断)
「決断」とは、「やる」か「やらない(やめる)」の二択を決めることです。
必要なのは、決断の結果として起こりうることをすべて受け入れる覚悟です。
A(Act:行動・実行)
決断したのであれば、行動・実行をやり抜かねばなりません。
やり抜くことで、初めて、情報収集・観察、状況判断・情勢適応、意思決定・決断の正しさを知ることができます。
|スピード経営
経営には、スピード感が大切なのは理解しています。
勿論、スピード感と無謀は異なりますので、十分な検討は必要です。
つまり、必要以上の検討は、スピード感を欠如させてしまうということです。
結果、ビジネスチャンスを逃したり、リスクを拡大させてしまうかもしれません。
そこで、PDCAサイクルのそれぞれの段階の中で、OODAループを回すことで、スピードを高めることに取り組みます。
確かに、Pで慎重に計画を立案することは大切です。
しかし、そこに時間をかけ過ぎたら、環境が既に変わり、意味のない計画になってしまうかもしれません。
故に、Pの中で、OODAループを回すのです。
同様にDでも、Cでも、Aでも、その中で、OODAループを回します。
ビジネスでは、「メリット」と「デメリット」あるいは、「利益」と「経費」、あるいは「セーフティー」と「リスク」を天秤に掛けます。
さらに、それらと「スピード」を天秤に掛けて行きたいと思います。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma)
取締役 最高執行責任者(COO) 兼 執行本部 本部長