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コラム

棚卸資産

  • 2022.06.06
  • カテゴリ: 知識|Knowledge

|経営

 

企業は、その目的を果たすために、経営理念に基づいた戦略を立案し、それに沿って事業活動を推進します。

そして、それらの活動には、資金調達、販売、人材管理、経営管理などの諸々の力の集合体である経営資源が不可欠となります。

 

経営資源を提唱したエディス・ペンローズによれば、企業の成長に限界が来るのは物理的な制約からではなく、相対的に経営資源が不足するからと示しています。

その経営資源ですが、一般的には、「ヒト」「モノ」「カネ」といった有形資産と「情報」といった無形資産の総称となります。

 

経営戦略では、多くの良質な経営資源を確保することが重要です。

また、確保ばかりしても活用しなければ宝の持ち腐れです。

 

故にマネジメントでは、それらの経営資源を如何に活用してバリュープロポジションともいえる顧客ニーズに応えた他社にはできない差別化価値を生み出すことが重要視されます。

それは、まるで、異なる形のたくさんのピース(要素)をハメ合わせて、大きなパズルを完成させるようなものです。

 

 

|棚卸資産

 

経営資源における「カネ」とは、現金だけをイメージされる方もおりますが、実際には企業の有する資産を意味します。

例えば、代表的なのが棚卸資産です。

棚卸資産とは、総資産の中で占める割合が大きく、健全な経営のためにも適切に管理していくことが求められております。

 

・棚卸資産

棚卸資産とは、「企業が販売する目的で一時的に保管しているもの」の総称となります。

賃借対照表(BS)においては、「資産の部」の中の「流動資産」に含まれる項目となります。

棚卸資産は、一般的には「在庫」と表現され、こちらの方がイメージがしやすいかと思います。

 

棚卸資産には、「商品、製品」「仕掛品」「原材料」などの種類があり、それぞれ異なる基準と方法で評価されます。

適切に棚卸資産の状況を把握して管理することは、経営を円滑におこなう上で重要な意味を持ちます。

 

・商品、製品(すぐに販売できる状態のもの)
・仕掛品(商品や製品の作りかけのもの)
・原材料(商品や製品のもととなるもの)

 

棚卸資産を「貸借対照表」に計上する上で、その価値を確定することが求められます。

棚卸資産は「棚卸資産の数」に「棚卸資産の単価」を掛けることで求められます。

棚卸資産の確定には、「数」と「価値の確定」という二つの手続きが必要になっております。

 

 

|実地棚卸

 

棚卸資産の「数」を確定する作業が「実地棚卸」となり、「価値を確定」をする作業が「棚卸資産の評価」となります。

会計上では、いくら仕入れや製造にお金を使っていても、販売がされない限りには、仕入れのためのお金は売上原価(費用)とはなりません。

売上原価を確定するためには、棚卸資産の原価の総額の中で、当期の売上高に対応する部分とその残りを区分する必要があります。

そのために必要となる作業が、実地棚卸です。

 

実地棚卸作業の実施方法
実地棚卸をすることで、実際にどのくらいの商品が残っているのかを確実に把握することができます。

本来であれば、帳簿上の在庫数量と実際の在庫数量は一致しているはずですが、実務上は入力ミスなどがでてしまうことにより、一致しないことが多いのが現状です。

 

定期的に実地棚卸をおこなうことで、帳簿上との差異も見つかり、適切な在庫管理ができるようになります。

また、定期的に棚卸をおこなうことで、実物の破損などの不良在庫がないかなどのチェックもできます。

また、実地棚卸は棚卸資産の計算する上で、棚卸資産の数を把握するための必要な行為になります。

実地棚卸をおこなうことで初めて棚卸資産や売上原価などを確定させることができます。

 

 

|決算棚卸

 

ベンカンの決算月は12月であるため、実地棚卸を毎年12月の最終出荷日後に実施しております。

在庫チェックの人為的なミスを防ぐとともに、普段在庫管理に携わっている人の不正を防ぐために、2名1組でおこないます。

棚卸で使われているのが「タグ方式」という方式です。

タグ方式は、在庫を保管している場所に連番の振られたタグを貼り付けておき、そこにカウントした数を記入していく方法です。

未記入のタグがなくなったらすべて回収し、合計を確認します。

 

その後、会計監査人(監査法人)による、棚卸立会になります。

会計監査人が期末時点の棚卸資産の数量を検証する監査手続となります。

 

会計監査人は事前にベンカンが作成した棚卸計画書(実施要領書)を確認し、この棚卸計画書通りの棚卸ができているのか?

棚卸のカウント数が正しくおこなわれているのかを検証するために、会計監査人自らがサンプルを抽出してカウントをおこない、ベンカンが確認したカウント数と一致しているかを確認します。

会計監査人(監査法人)は、棚卸の妥当性を確認する事により、棚卸資産の数量の検証をおこないます。

 

 

|棚卸資産の評価方法(価値の確定)

 

棚卸資産の金額を確定する上で必要になるのが、価値の確定となります。

在庫となるものについて、取得原価(価格)がそのまま棚卸資産となるわけではありません。

棚卸資産の評価方法には、「低価法」と「原価法」の2つがあります。

棚卸資産の評価方法のうち自社がどの方法で評価するかは、事前に税務署に届けをおこなう必要があります。

届出をおこなわない場合には、原価法の「最終仕入原価法」での計算になりますが、業種によっては利益との誤差が大きくなってしまう可能性があります。

 

低価法

低価法は、棚卸資産の取得原価と時価を比較して、いずれか低い方の価額を期末棚卸資産の評価額とする方法となります。

期末に在庫の市場価値が陳腐化・品質低下などの理由で帳簿価額を下回った場合、その下回った価額で在庫の棚卸資産を評価し、帳簿価額との差額を費用として計上することが可能となります。

 

たとえば帳簿価額1,000円の商品が、期末の正味売却価格(市場での売価から原価を控除した金額)が800円になってしまえば、差額の200円を評価損として計上することになります。

比較するものとしては、正味売却価額と帳簿価額が原則となりますが、製造業における原材料などは再調達原価(新しく購入した時の価格)の方が把握しやすいため、再調達原価と帳簿価額の比較することが多くあります。

 

低価法には、低価法適用額に基づいて在庫評価額を切り下げる「切放法」と、翌期に前期低価法評価損計上額を戻し入れて、新たに低価法評価損を計上し直す「洗替法」の2種類があります。

 

原価法

これに対して原価法とは、帳簿価額を評価額とする方法となります。

原価法の帳簿価額は、一単位あたりの取得原価を計算し、それに数量をかけて計算します。

なお、一単位あたり取得原価の計算方法は以下6つです。

 

(1)最終仕入原価法
期末に最も近い日に取得した仕入れ単価を基準に計算する方法となります。

届出がない場合、自動的にこの方法が適用されます。価格変動が多い場合は、実際かかったお金との誤差も大きくなってしまいます。

 

(2)個別法
実際の取得金額を合計する方法となります。

ただし、数や種類が多い場合、この方法で管理するのは労力が大きく難しいものとなります。

宝石や不動産など、一つひとつが特別な商品を扱う場合には向いている方法となります。

 

(3)先入先出法
現実のものの流れとは別に、「先に仕入れたものから売れていく」と考える方法となります。

在庫は期末に最も近いものが残っていると仮定して、取得価格で評価します。

実際の資産の流れに近い状態で計算することができる方法となります。

 

(4)総平均法

会計期間の平均仕入単価をもって、売上原価、期末在庫の評価額とする方法となります。

前期の繰り越し資産と当期中の資産総額を総数量で割り、平均した価格を取得価格とします。

期間後にしか計算ができないというデメリットがあります。

 

(5)移動平均法
資産を取得するたびに、前回の平均価額と在庫数量を踏まえて計算し、その都度平均取得価格を算出する方法となります。

在庫に変化があるたびに平均単価を算出して売上原価とし、棚卸資産の評価額として取り扱うための計算法となります。

棚卸資産を受入するたびに計算をおこなうため、その時点での評価額を把握することができます。

但し、棚卸資産の受入をおこなうたびに計算をおこなうため、担当者の負荷が増えます。

 

(6)売価還元法

棚卸資産をグループに分け、それぞれの原価率を算出することで、売上原価や期末棚卸資産の額を計算する方法となります。

販売価格に原価率を掛けて算出します。

売価がついている場合に取り入れられる方法で、小売店などで広く用いられております。

小売業で売価還元法が広く用いられているのは、他の評価方法と比べて簡便であり、最終仕入原価法と比べて価格変動時の実際の価格との差が開きにくいことがあげられます。

 

 

|在庫管理の重要性

 

在庫は資産の一部となりますので、適切に管理することは企業経営の基本となります。

在庫がわからなければ利益を確定することができず、誤った経営判断を下してしまいます。

在庫管理は会計上も必須の作業となりますが、日々の適切な在庫管理をすることは経営上も大きなメリットが得ることができます。

 

キャッシュフローの改善
在庫は資産の一部ですが、売れない限り、お金にすることはできません。

適切に在庫を管理すると無駄な在庫を減らすことができるため、キャッシュフローの改善につながります。

 

生産性の向上
在庫が多ければ多いほど、発注量を見誤りやすくなってしまいます。

必要なものが足りなかったり、不要なものがあふれたりとしてしまいます。

過剰な在庫が積まれた倉庫では、目的の商品を探すことにも時間がかかりすぎてしまいます。

そもそも、保管するのにもコストがかかるため(場所の確保や空調代など)、その費用も削減することができます。

適切な在庫数を保つことができれば、出し入れの作業時間も削減することができ、生産的な業務に割く時間が増え、結果として売り上げのアップが期待することができます。

 

品質の改善
商品は、仕入れた瞬間から劣化してしまいます。

食品であれば、消費期限が過ぎてしまうリスクがあります。

そうでなくても、トレンドの変化で価値が低下したり、保管しておくことで品質が下がったりするリスクがあります。

そうなれば当初予測していたほどの売り上げを見込むことはできません。

低品質な商品を手にした顧客が不満を抱えるリスクも減らすことができます。

 

 

|まとめ

 

棚卸資産(在庫)は経営資源における「カネ」になり、現金が形を変えたものになります。
商品や製品は販売されてこそ、現金になります。
商品や製品が在庫としてため込まれていては(不動在庫になっていると)、お金が在庫として滞留した状態になり、資金繰りが悪化してしまいます。

そのため、棚卸資産の管理をキチンとおこなっていき、経営資源を有効活用できるようにしていき、資金繰りが悪化しないようにしていきます。

 

 

sano

 

佐野 裕(Yutaka Sano)  管理部 部長


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