ベンカン品質の追求
- 2016.10.20
アメリカで発表された自動車の初期品質調査の結果を見て、韓国メーカーが躍進した取り組みに興味が湧きました。
1位 起亜自動車・キア(韓国)
2位 ポルシェ
3位 現在自動車・ヒュンダイ(韓国)
4位 トヨタ自動車
※出典:J.D.パワー2016年米国自動車初期品質調査SM(IQS)
1位の起亜自動車の沿革を調べてみると、韓国経済危機で経営危機に陥り破綻、現代自動車の傘下になり、その後も北米市場で大規模なリコールを実施し、決して順風満帆ではなかったようです。
現代自動車も当時は品質向上に試行錯誤していたようで、当時の会長が「品生品死」といった信条を掲げ、常にお客様の声に耳を傾け、品質改善に取り組んでいたものが起亜自動車にも浸透していったようです。
日本のメーカーは、エアバックや燃費の問題などでイメージダウンもあるのでしょうが、上位になったメーカーが取り組んで来た経緯を知ると、結局は、徹底して努力し続けて勝ち取った品質評価なのだと思いました。
「ステンレス配管のベンカン」も経営課題の一つに「品質」を掲げ、著しい外部環境の変化に対して、従来の考えから脱却すべくチャレンジを続けています。
メカニカルジョイントの性能は、ステンレス協会の「一般配管用ステンレス鋼鋼管の管継手性能基準(SAS322)」に則して実施される、水圧や引抜などの性能確認試験でご確認いただくことができます。
また、敢て「一般配管用ステンレス鋼鋼管の管継手性能基準(SAS322)」にない「水圧曲げ試験」は、過酷な環境下でも性能が発揮出来ることを証明する「イジメ試験」として、メカニカルジョイントの製造を開始してから40年以上も繰り返し続けられています。
※ダブルプレス ソケット 20Su 水圧曲げ試験:荷重0.68kN 曲げ角度:30.1° 漏れ無し
「水圧曲げ試験」は、ベンカンで新たに開発するメカニカルジョイントについて必須試験とし、性能を判定する重要な独自の指標としています。
しかしながら、工場で実施される試験結果は、あくまでも試験でしかありません。
大切なのは、その性能が実際の施工現場で確実に発揮されることとなりますので、会社規程に定められた製造規格の自律遵守が重要となります。
また、自律遵守も自覚がないままに形骸化する恐れがありますので、定期的に覚醒させるための取り組みが欠かせません。
現在では、毎週月曜日にMJ工場に所属する社員は勿論のこと、藪塚に勤務するベンカン全社員が参加しての「品質感受性教育」を開催しております。
実際、製造現場の従業員の中には、自分達が製造している製品が、どの様に扱われているか認識のない場合もあります。
「品質感受性教育」では、実際にどの様にご利用いただいているのか、仮に製品に不具合があった場合に、どのようなご迷惑をお掛けし、会社として信頼を失墜させてしまうのかを可能な限り実態を再現して伝えるようにしております。
また、品質保証ならびに管理体制を実際にお客様に見ていただく場として、工場見学会をMJ工場(群馬)と大阪工場(現在、ベンカン機工)で積極的に開催しています。
工場見学会の活性化は、品質保証室をはじめとした工場従事スタッフ達にとって、お客様の生の声をお伺いできる貴重な機会にもなっています。
ベンカンの事業ドメイン(領域)は、管工機材需要と位置付けております。
例えば、国内の管工機材需要は決して安泰ではありません。
需要状況が飽和状態に近い状況に加え、冒頭の自動車業界のように、品質が向上した海外製品が以前にも増して流通していることは周知の通りです。
ベンカンと致しましては、ミッションでもある「現在だけでなく未来を考えた 配管の開発と供給を通して信頼ある ライフラインの構築を提案」を前提に、全社員が「TQM」による品質のつくり込み」に取り組み続け、お客様の声にお応え出来るベンカン品質の追求を徹底してまいります。
それこそが、ミッションの遂行にもつながるものと確信しております。
柳 学文 (Manabu Yanagi) 品質保証室 室長