配管「水管橋」
- 2020.09.25
|配管
配管とは、パイプや継手などをトータル的に設計して、液体や気体といった流体を、目的箇所まで適切に配送するシステムのことです。
液体や気体で想起するのは、水や空気だと思います。
実際、それらが主ではありますが、プラント配管であれば油や薬品などがありますし、スライムのような流動体を流すスラリー(slurry)配管や小さいながら固体を流す配管もあります。
その中で、一般配管と呼ばれると、給水や給湯、あるいは空調配管であるように人の生活に直結にした「配管」を意味します。
裏を返せば、人が生活する上で欠かせない配管ですので、「ライフライン(命綱)」を意味します。
そして、「ライフライン」だからこそ求められるのが、災害時に問題視される通り、如何なる場合でも供給を途絶えさせないことが使命となります。
また、環境に優しい配管である必要からもサスティナブル(sustainable 持続可能な)な存在であることも重要視されています。
|給水管とは
2015年9月に開催された国連サミットで採択されたのが、持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成された「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」です。
掲げられた17のゴールの内、目標6の課題は、[水・衛生]であり、「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。」となっています。
人の体は、60%が水であるといわれています。
故に、すべての人々にとって、生きて行く上で、衛生的な水は絶対に欠かすことができません。
そして、それは一時的なものではなく、不測の事態も含めて持続的に供給できるしくみの構築が重要となります。
「給水管」は、その様な大切な水を供給するしくみの一つであり、正にライフラインです。
重要なライフラインの一つであるはずの給水管ですが、その存在と重要性には、あまり目が向けられていないとも感じています。
その原因は、いくつか考えられますが、まず、「目に目えない部分」であることだと思います。
まず、水道の源泉は、ダムであったり、川であったり、湖であったり、湧水であったり・・・地域によってことなります。
そして、源泉から取水された水は、浄水場で安全な水に処理されます。
その水は、本管とも呼ばれる配水管で、その殆どは、地中に配管され、各住まいの近くまで運ばれ、そこから各宅地に「給水管」によって引き込まれます。
|水管橋とは
ところが、給水管を非常に目立つ形で目にできる施設があるのです。
人や車は、川や谷を越える際には、橋を渡ります。
実は、給水管も同様で、橋を渡るのです。
その水管橋(すいかんきょう)、あるいは、水道橋(すいどうばし)と呼ばれる施設は、正に、川や谷を超えて水を送るための橋梁です。
例えば、東京都の東京ドームの最寄り駅は水道橋駅です。
これは、神田上水の水管橋(吉祥寺橋)があったことから、その地名になったとされています。
残念ながら、この橋は、火事によってなくなってしまったのだそうです。
国内で最も有名な熊本県にある通潤橋(つうじゅんきょう)は、飲料水用ではなく、水不足に悩む白糸大地の水田に農業用水を送るために1854年に造られたものです。
また、水管橋は、給水用途の専用橋ばかりではなく、道路併用橋もあります。
特に、世界最長吊橋である明石海峡大橋は、道路併用橋での世界最長の水管橋となります。
神戸市側から明石海峡をまたぎ、慢性的な淡路島の水不足の解消に貢献しています。
その他、一口に水管橋といっても、様々な構造のものがあり、その美しさから景観的にも楽しませてくれるものも少なくありません。
是非、観光地ともなっている水管橋を目当てにご旅行を計画されるのも良いかと思います。
また、身近にも、私たちの生活を守るための様々な水管橋があります。
気にかけて、見渡していただけると、水に関わる者として大変、嬉しく思います。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma) 代表取締役社長