マネジメント「キャリアアップ教育」
- 2020.12.11
|戦略人事
組織とは、「意識的に調整された2人またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステムである。」と定義したのは、アメリカの経済学者であるチェスターバーナードです。
人は、社会やコミュニティ、または個人の特定ニーズを満たす上で、一人で成し遂げることができることには限界があるために、何らかの組織を形成します。
そして、それぞれの組織は、それぞれ特有の目的を果たすために、社会の中で様々な活動を繰り広げます。
翻せば、その組織の中に、その組織の目的を果たす上で障害になるような存在、あいは、その存在を容認してしまう組織は、いずれ組織として機能しなくなってしまうといえます。
従来の日本企業は、社員を勤続年数などに裏打ちされた能力によって評価してきました。
しかしながら、先行きの予測ができない変化の激しい現在では、社員一人一人が自律的に行動することが重要となっています。
つまり、保有した能力ではなく、自律して発揮した能力による評価です。
会社が横並びにするのではなく、社員自らが、必要なスキルを選択して身に着け、実務で、それを発揮できるような戦略人事が必要になっています。
そのためにキャリアアップ教育の制度化を推進しております。
|キャリアアップ勉強会
現在、ベンカンは、グループ会社であるベンカン・ベトナムを加えると400人を超える社員が従事する組織となっております。
以前は、社員全体の能力を会社がベースアップさせようとしていた時期がありました。
勿論、一度に全員に対して教育を実施する訳には行きません。
そのため役職別、年代別にクラス分けして、年間のカリキュラムを組んで、勉強会を設定して、対象者に参加させていました。
ところがいくつかの問題がありました。
役職別、年代別にクラス分けしても、個人によって、理解レベルが違って来てしまいます。
また、理解することが目的となり、それを活かして実行に移すまでにならない場合もありました。
そもそも、会社が一方的に社員を教育する考え方が、その自律性を奪ってしまっていたのかと思います。
そこで、最低限の頻度で、横並びの教育は継続して実施するものの、キャリアアップ教育の一環として社員自身の自律性を尊重したキャリアアップ勉強会を開催し始めております。
それは、会社が社員たちに身に付けて欲しい能力の勉強会だけではなく、社員のリクエストに応えるカタチでも実施を検討します。
また、参加したからといって評価を高めることも、参加しないからといって評価を低くすることはしません。
あくまでも、評価されるのは実務で発揮される能力です。
|共通書籍の活用
キャリアアップ教育では、社員の自習も支援しています。
その意味でも、最も活用しているのが書籍です。
最近は、WEB研修の活用頻度が高まり、従来ほどではなくなりましたが、集合研修は、時間、場所、費用などの制約が伴います。
そこで、組織の課題にあった共有書籍を設定するようにしています。
共有書籍は会社で用意して貸し出しを行います。
書籍であれば、時間や場所に制約されることなく勉強することが可能です。
また、自分のペースで勉強できることも魅力かと思います。
場合によっては、個人でステップアップした書籍を手に入れて学ぶこともできます。
但し、一方的に社員に委ねるだけでは、モチベーションが高まらないとも考えています。
そのため、前出のキャリアアップ教育の勉強会でフォローアップします。
また、グループウェアや職場でのミーティングでも、意見交換できるような場を設けるようにしています。
そして何よりも、共通の書籍を共有することで、単語や表現、掲載ページなどの詳細部分も共有し、いわゆる共通言語で意見交換ができることから、コミュニケーションの向上にもなります。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma)
取締役 最高執行責任者(COO) 兼 執行本部 本部長