コミュニケーション「ペーシング」
- 2012.12.19
｜インサイド・アウト
コミュニケーションとは、社会学的には、社会組織の中で、それを形成する人間の間で行われる知覚、感情、思考の伝達と言えます。
また、心理学的には、自分自身との対話もコミュニケーションとも言えるようです。
つまり、優れたコミュニケーションとは、人間から人間に知覚、感情、思考などの情報が正確に伝わることと解釈されます。
組織では、優れた意見が必ず認められるとは限りません。
組織の中で自分の意見を認めてもらうには、良好なコミュニケーションが必要であり、それには、ラポール（信頼関係）を築くことが前提だからです。
そのために日頃から組織内での公務による立ち振る舞いや言動が大切となります。
自己啓発書あるいはビジネス書として長年に渡ってベストセラーである「７つの習慣」があります。
その冒頭で基幹的な考えとして出てくるのが、「インサイド・アウト」のパラダイム（モノの見方）です。
一般的な人間の思考として、うまく行かない場合、問題は自分にあるのではなく、上司だったり、部下だったり、お客様だったり、組織だったり、環境が悪いと考えがちです。
それを自分自身（インサイド）ではなく、外部環境（アウトサイド）に問題原因があると主張する「アウトサイド・イン」のパラダイムと言います。
対して、「インサイド・アウト」のパラダイムでは、「外部環境(アウトサイド)を変えたいのであるならば、まずは自分自身(インサイド)から変えることが前提」となる訳です。
信頼関係を築くためには、この「インサイド・アウト」のパラダイムを前提としなければなりません。
｜ラポール
コミュニケーションを高めるためのラポールですが、一朝一夕に築かれるものではありません。
ラポールとは反応のプロセスです。
必ずしも対人的な好き嫌いの問題だけで左右されるものではありませんが、互いに好意を持つことで高まることは間違いありません。
例えば、メラビアンの法則からすると、「言語（Verbal）」、「会話（Vocal）」、「対面（Visual）」を、偏ることなく、そのシチュエーションにおうじて、自己開示や単純接触などを行い続ける必要があります。
単純接触効果とは、自分に要件のある時だけ接触するのではなく、普段から接触回数を増やすことでコミュニケーションが向上することです。
また、自己開示効果では、自分自身がどんな人間かを相手に晒すことで、相手も自己開示に応じるようになり、コミュニケーションが向上することです。
故に、懇親会やサークル活動など、私的な交流そのものはコミュニケーションではありませんが、前提となる信頼関係を築くためには絶好の機会となる訳です。
｜ペーシング
ラポールは、互いに好意を持つことで高まります。
それは、インサイド・アウトの考えからも、まずは、相手を尊重することが重要です。
相手の立場に立った上で、自分の考えに対して理解を求めるのです。
これをペーシングといいます。
ペーシングを成立させるためのスキルが、ミラーリング、マッチング、バックトラッキングといわれています。
ミラーリングとは、相手の身振りや動作を合わせることです。
姿勢、座り方、身振り、手振り、態度、表情など様々ですが、無意識レベルに親近感を感じてもらうことが重要です。
合わせることが、大袈裟になったり、ワザとらしくなってしまうと、逆に相手に不快感を与えてしまいますので要注意です。
マッチングは、相手の話し方に合わせることです。
声の調子、高低、大小、リズム、スピードなどだけではなく、考え方、価値観、明るさ、静けさ、熱意、感情、呼吸などに合わせることで効果が高まります。
バックトラッキングとは、相手の話した事実、感情を反復（繰り返し）して、要約・確認することです。
相手は、自分の話した内容を繰り返し聴くことになるので、それに同意してくれます。
結果、自分のことを理解してもらえているという実感を得られます。
人間の脳は、情報が自分にとって肯定的なものか、否定的なものかを常にチェックしています。
結果的に、バックトラッキングを繰り返すことによって、そのチェック機能が外れることになります。
ペーシングを効果的に行うことによって、相手を知り、インサイド・アウトを実現させることが、コミュニケーションを高めてるはずです。
我妻 武彦（Takehiko Wagatsuma） 
代表取締役社長
