マネジメント「管理会計」
- 2021.01.24
|マネジメント
人は一人で成せる目標には限界があります。
それ故に、より大きな目標を達成させるために、同じ意志を持った個人が集って組織を形成します。
しかしながら、目標達成に対する意志が同じであっても、それを実現させるための方法論は、個人それぞれです。
また、それぞれの能力も均一ではありませんし、それぞれに、長所もあれば、欠点もあります。
それ故に、組織の存在意義を高めるためにも、マネジメントを機能させ、それぞれの長所を活かし、それぞれの欠点を補い合いながら、より大きな目標を達成させることが大切です。
組織である企業が、成長するための活動には多くの資本や労働力が必要であり、そして更なる成長には、より多くの経営能力が必要となります。
そのために欠かせないものとして、エディス・ペンローズが提唱したものに経営資源があります。
経営では、「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「情報」などの経営資源をマネジメントによって、正解のないパズルを組み合わせ続けることに思います。
その意味でも、マネジメントにとって戦略的な会計は非常に重要となります。
|企業会計
経営資源の「カネ」を管理するのが企業会計であり、制度会計と管理会計に大別されます。
制度会計とは、法律など何らかの制度に従って実施される会計で、財務会計と税務会計に分類されます。
財務会計は、社外の株主や金融機関をはじめとするステイクホルダー(利害関係者)に業績を報告するための会計です。
税務会計は、企業が課税されるべき所得税を算出されるための会計です。
決算時に作成される財務三表と称される損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CF)が財務会計のための資料であり、金融商品取引法、会社法などの法律や会計基準に基づいたものとなります。
この財務会計の取り分け損益計算書は、税務を中心とした売上中心の捉え方です。
つまり、各項目において対売上高比率を中心に損益構造を分析する傾向にあります。
資金繰りの関係から売上を無視することはできませんが、経営の観点からしたら利益を出すための会計理論が必要と考えます。
例えば、財務会計では、利益を増やす方法は、①売上を増やす ②固定費を減らす ③利益率を上げる の何れかだと言われます。
ところが市況が厳しくなると売上を増やすのは容易ではありません。
結果、競合との価格競争に陥りますので、利益率を上げるのも困難となります。
行きつく先は、社内改革と称したリストラ政策であり、その典型が固定費削減です。
しかし、これで本当に利益を増やすことができるのかです。
利益とは決して、売上から経費を差し引いた残りではなく、利益を起点としたマネジメントが必要なのだと考えます。
そのため、その企業に沿った社内の経営に活かすためのものが管理会計となります。
故に英語では、財務会計がFinancial Accountingに対して、管理会計は、Management Accountingとなります。
管理会計は、正に経営をマネジメントするための会計であり、経営の意思決定を行う上で重要なものとなります。
基本的に、社内でのみ使用しますので、作成する上での縛りは一切ありません。
もちろん、任意ですので取り入れていない会社もあります。
|管理会計
ベンカンの管理会計は、損益計算書をベースとしてMQ会計という理論を導入しています。
大きな特徴は、財務会計は決算時の結果(過去)を示すものに対して、MQ会計は将来の経営のマネジメントに活かすためのものです。
利益は、売上から経費を引いて残ったものではなく、様々な切り口の感度を高めることで、創り出すものだと言う考え方です。
基点となるのが、付加価値と例えられるMQ(売上総利益・粗利)です。
その切り口の起点ですが、固定費Fである場合があれば、変動費VQである場合もあります。
売上単価Pであったり、販売個数Qである場合もあります。
管理会計の考え方とは矛盾しますが、MQを増やすために、売上PQを減らしたり、固定費Fを増やしたり、MQ率を下げたりする場合もあるかもしれません。
そこから最終的に、営業利益Gをいくら得るかの戦略を立案およびマネジメントすることになります。
また、組織をプロフィットセンター(利益を生み出す部門)とコストセンター(利益を生み出さない部門)に区分する考えがあります。
しかし、このMQ会計では、あらゆる部門がプロフィットセンターであることが求められます。
そのため経理部門ではない工場や営業のスタッフたちでも理解でき、使いこなせなければなりません。
よって、MQ会計の理論は、科学的つまり、数学的で矛盾のない仕組みとなっています。
以上、この管理会計は、法律や会計基準に縛られることなく、経営を戦略的にマネジメントする上での情報となります。
実際に、ベンカンの管理会計ですが、基本のMQ会計から、その主旨を逸脱させることなく、守破離の如く、独自のカタチに進化させています。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma) 代表取締役社長