ISO(国際標準化機構)規格
- 2019.07.10
|国際標準化
事業が発展すると必ず必要となってくるのが、品質、性能、安全性、寸法、試験方法などの標準化された規格です。
各企業がそれぞれの規格で取り組んでいては、その事業は企業の域から出ることが出来ず、市場自体も混乱して発展させることは困難です。
そこで、使用実績などを前提として、関係企業や業界などで標準化された規格が制定されて行きます。(デファクトスタンダード)
また、日本であれば、JIS(日本産業規格)の様に、公の機関が標準化された規格を制定する場合の方が多い傾向にあります。(デジュールスタンダード)
更に事業が国際的に発展しようとすると、今度は、諸国間の規格の標準化が重要視されることとなります。
逆にこの国際的な標準化が推進されなければ、事業の国際的な発展は見込まれません。
それを受ける様な形で、1947年、ISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)は、スイスのジュネーブに設立されました。
その目的は、「商品とサービスの国際的な交換を安易にし、知識・科学・技術・経済に関する活動において、国際的な協力を助長するため、国際的な規模の標準化とこれに関連する諸活動の発展・促進」とされています。
|ISO規格
グローバル化の障壁となった各国規格の相違を解消するためにISOは規格の標準化に取り組みました。
ISO規格の制定や改訂は、日本を含む世界165ヵ国(2014年現在)の参加国の投票によって決まります。
身近な例としては、ネジ(ISO 68)、非常口のマーク(ISO 7010)、カードのサイズ(ISO/IEC 7810)などです。
これらは、製品規格として、主に製品個別の構造・寸法・材質・性能などを定めるものです。
対して、環境の変化は、規格に対して求める目的も変えてきました。
それが、マネジメントシステムに関するものであり、ISO9001やISO14001が、それに該当します。
マネジメントは、組織に特有の使命、すなわち、それぞれの目的を果たすために不可欠な機能です。
ISO9001は、品質のマネジメントシステムに関する規程です。
企業などの組織が顧客や社会などが求めている品質を備えた製品やサービスの管理だけではなく、より優れた品質の製品やサービスを製造あるいは提供するためのシステムについて定めたものです。
ISO 14001は、環境のマネジメントシステムに関する規程です。
組織を取り巻く環境(地域住民・利害関係者・水・空気・緑地など)に対し、組織が与えている影響を明確にし、悪い影響を与えているのであれば、それを解決させていくためのシステムについて定めたものです。
これらマネジメントシステムに関する規格は、それぞれの目的を果たすために課題を掲げて取り組まれるものとなります。
これまで、これまで営利目的を優先してきた時代から、社会貢献、環境貢献についての姿勢が問われるようになり、それらが顧客との取引条件、あるいは消費者の購買判断基準にまで及ぶようになった時代背景の影響かと思います。
実際、一部の公共事業や海 外の経済協力プロジェクトの入札資格審査でも、ISOの認定が条件である場合も少なくなく、認定を受けた工場や事業所は、世界で 約13万に達し、国内でも約3,000に及 んでいるとされています。
これは、ISO規格が、国際的な企業の社会的責任(CSR)や信頼性を標準化するに値する存在になっていると考えて良いかと思います。
|ISO規格のマネジメントシステム
ISO規格のマネジメントシステムに関する規格の課題の設定には、目的を遂行する上での障壁となるリスクの洗い出しと、改善に向けての管理が大切となります。
マネジメントを推進する上での代表的な手法が、マネジメントサイクルとも言われるPDCAサイクルです。
PDCAとは、Plan(計画)、Do(行動)、Check(評価・検証)、Action(改善行動)の頭文字とったものです。
そもそもの計画(P)は、仮説の上に成り立っています。
行動(D)は、計画(P)を評価・検証(C)するために行われます。
正しい評価・検証(C)は、計画(P)に基づいた行動(D)があって成り立ちます。
そこから、質の高い改善行動(A)に結び付けることが可能となります。
PDCAサイクルで最も大切なのは、改善し続けることにあります。
つまり、PDCAサイクルを回す度に、行動の質は高まり、成功へと近づくこととなる訳です。
故に元に戻るサイクルではなく、スパイラルアップすることからもPDCAスパイラルと表現される場合もあります。
マネジメントシステムに関するIPO規格においても、認定を受けたから完了ではなく定期的に更新審査が実施されます。
そこで、常にPDCAサイクルが回されているかが確認されることとなります。
Takehiko Wagatsuma