マーケティング「製品戦略」
- 2012.12.05
|マーケティング ミックス
マーケティングに対する定義は様々ですが、「マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。」とは、マネジメントのピーター・F・ドラッカー氏の言葉です。
つまり、売れる仕組みをつくることがマーケティングの役割ともいえます。
マーケティングで重要なのが、対象市場において、自社独自の価値(バリュープロポジション)を、顧客に、どのように伝え、満足を得て行くかです。
つまり、顧客満足(CS:Customer Satisfaction)を得るために、様々な切り口で分析したり、評価、検証を繰り返して、戦略を立案しなければなりません。
その戦略の代表的なフレームワークが、マーケティング・プロセスの最終局面となるマーケティング・ミックスの最適化です。
マーケティング・ミックスですが、各戦略のイニシャルをとって、4Pとも称されます。
1.製品戦略(Product):機能、デザイン、品質、種類、特徴、ブランド、大きさ、重さ、パッケージなど
2.価格戦略(Price):販売価格、割引・セール価格、支払い条件、取引条件、還元価格、価格条件など
3.流通戦略(Place):販路形態、在庫、発送、代理店制度、立地、店舗形態など
4.プロモーション戦略(Promotion):販売促進、広報、広告など
また、ミックスとなっていることでも理解できる通り、それぞれを単独の戦略にするのではなく、例えば、製品戦略であれば、その中に価格施策、流通施策、プロモーション施策が組み込まれ、整合性が取れていることが重要となります。
|製品戦略(Product)
製品戦略は、環境分析(3C分析・STP・SWOT)や他の4Pとの整合性をとりながら検討されます。
製品とは、顧客満足を得るために市場に出された有形、無形のすべてです。
顧客は、製品そのものを消費・使用・所得することが目的ではなく、製品を消費・使用・所得することによって、何らかのベネフィット(benefit)を求めています。
ベネフィットとは、その製品を通して顧客が得ることができる恩恵のことです。
製品とは、「ベネフィットの束(bundle of benefit)」ともいわれます。
① 製品の中核
顧客が、その製品を購入しようとした本来の目的部分が製品の中核となるベネフィットとなります。
例えば、同じ用途の製品であっても、顧客によって、機能性を求めたり、デザイン性を求めたり、廉価性を求めるなど様々です。
しかしながら顧客が製品を購入する本来の目的は、製品の中核であるベネフィットとなります。
ここを見失うと、製品そのものの存在価値を見失うことに成りかねないため、非常に重要な部分となります。
② 製品の実体
製品には、その中核に従って、実体化させる5つの特性があるとされています。
①ブランド ②パッケージ ③特徴 ④デザイン ⑤品質水準
これらを最適に組み合わせることで、顧客に対して、製品の中核を訴求し、購入そして顧客満足につなげる必要があります。
③製品の付随機能
製品に付随する機能とは、製品の中核を提供する際に直接的な影響があるものではないものの、顧客満足を高めるための要素となるものです。
例えば、納品方法、支払方法、設置、保証、アフターサービスなどの機能です。
また、製品には、「プロダクトライフサイクル(Product Life Cycle)」があるとされます。
製品には必ず寿命があるという前提に立ち、製品は生まれて死んで行くものした考えです。
一般的には、「導入期」→「成長期」→「成熟期」→「衰退期」という4段階に分けられます。
「導入期」は、新しい製品を市場に投入した直後ですので、まだ顧客に認知されず、売上高は低い状況です。
「成長期」では、「導入期」の戦略推進により顧客の認知度が高まってくると、売上高が成長し、利益もピークに達します。
「成熟期」では、市場への新規参入する競合他社も増加し始めするなどから市場規模も売上高も完全に頭打ちとなります。
「衰退期」となると、市場規模が縮小したり、市場シェアが減るなどして売上高は減少してしまいます。
それぞれの期間は、内部環境、外部環境、競合の状況などによって異なって来ますので、製品戦略では、その製品がおかれた時期によって異なる戦略を講じる必要があります。
導入期:製品の認知度を向上させる戦略
成長期:より多くの市場シェアの獲得を目論む戦略
成熟期:市場シェアの維持戦略
衰退期:新規価値創出、新たな提案、改良、ポジショニングの修正
以上、製品戦略を立案する上では、様々な切り口がありますが、3つの階層構造と製品の置かれた時期を理解して、「価格施策」、「流通施策」、「プロモーション施策」と整合性を持たせ、論理的に検討することが重要となります。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma) 代表取締役社長