マネジメント「リスクマネジメント」
- 2021.10.01
|マネジメント
組織を構成する一人一人が、同じ目的を共有していても、それを実現させるための方法論は、個人それぞれです。
また、それぞれの能力も均一ではありませんし、それぞれに、長所もあれば、欠点もあります。
その様な状況下にあって、組織をして成果をあげさせるための取り組みがマネジメントです。
マネジメントの提唱者であるP.F.ドラッカー氏は、その著書である「マネジメント 基本と原理」の中で、「マネジメントは、組織に特有の使命、すなわち、それぞれの目的を果たすために存在する。」と示しております。
また、組織である企業にとっての目的は「顧客の創造」であると断言されています。
そのため企業は、その存在意義を高めるためにも、企業価値の維持・向上に努め、提供し続けることが顧客との大切な約束となります。
翻せば、事業を継続できなくなる要因を想定して、如何にして回避するかの「リスクヘッジ(Risk Hedge)」が重要となります。
更には、想定の範疇の局所的、一時的な「リスクヘッジ」に止まらず、事業全体を把握して、その継続を阻害する緊急事態が起こらないように、その原因となる事象の全てを予測して防止策、早期復旧策を検討する「リスクマネジメント(Risk Management)」の重要性が問われるようになっております。
|リスクマネジメント
「リスクマネジメント」の重要性の高まりを受けて、イギリスやアメリカを中心に「BCP」を世界標準化させる動きが始まっています。
「BCP(Business Continuity Plan)」とは、企業が緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。(中小企業庁ホームページより抜粋)
事業継続を阻害する緊急事態で代表的なものが災害や事故、パンデミック、情報漏えい、データ改ざん、コンピューターウィルスなどです。
故に国内では、2011年3月11日の東日本大震災以降、急速に重要性が再認識され、各企業が再構築に取り組んでいます。
そもそも、事業継続の必要性ですが、その企業に社会に認められる事業価値がなければ不要であり、自由経済である以上、緊急事態なくして淘汰されます。
また、事業価値の社会貢献度が高くなれば、その継続を途絶えさせることは、公的にも許されるものではありません。
そのためにも企業にとって、その事業価値を高めると同時に、その事業を継続するための経営資源の担保と、継続を阻害するあらゆる要因を排除しなければなりません。
つまり、 「BCP」 とは、予期せぬ事態も含めて、限られた経営資源で最低限の事業活動を継続ないし目標復旧時間以内に再開できるようにするためのガイドラインとして、事前に策定される行動計画となります。
そのため「BCP」そのものの策定を含め、運用、見直しまでを司る「BCM」体制の構築が前提となります。
「BCM(Business Continuity Management)」とは「企業経営のあり方」そのものであるとも言われており、近い将来、「ISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)規格」の様に「BCM」が企業間取引に必要になる時代が到来することが予想されています。
「BCM」は経営資源を平常時、緊急時に限らず、途絶えることなく確保することを目的とし、「BCP」の策定から事業継続・復旧の優先付けを行うなど、重要な経営判断と企業として実行性を確保することが求められるのです。
日本においても、その重要性が再認識され政府機関、各企業や団体においても「BCP」の策定と「BCM」の運用が進んでいます。
|戦略的な対策
ベンカンにおけるリスクマネジメントと言えば、以前は、リスクヘッジ主体の活動でした。
いわゆる、問題が起きてから再発を対処するような体制です。
これでは、過去に経験した問題であれば事前に対策できていても、初めて体験するような問題、ましてや予期しない問題には対処できません。
そこでまずは、コンサルタントの指導を受けながら、政府機関などが指導する定番的な「BCP」を策定しました。
それは、不慮のリスクである地震、風水害、火災、さらには感染症によるパンデミック、テロなどに備えた内容となっております。
その上で、「BCM」体制を編成して、ベンカン独自の「BCP」にすべく取り組んでおります。
特に重要視しているのは、事業継続には欠かせない経営資源の継続的な確保です。
経営資源とは、一般的に、ヒト(人材)、モノ(資産)、カネ(資本)、情報(無形固定資産など)などになります。
これらの経営資源が仮に枯渇してしまえば、事業の継続は途絶えることになります。
故に、マッキンゼーの空・雨・傘のフレームワークを活用して、中長期の経営計画の中に盛り込んで戦略的に仮説立てて策定するようにしております。
「空」で事実を把握します。「晴れてはいるが、西の空に雨雲がある」
「雨」で事実を解釈します。「昼ころから雨が降りそう」
「傘」は、問題の解決策となります。「傘を持って出かけよう」
まず事実を場当たり的ではなく、先見的に捉えられるかが非常に重要となります。
その上で、その事実から、如何にリスクレベルを解釈できるのかです。
そして、その解釈から解決策を、どの様な行動に落とし込むのかを決断する必要があります。
シンプルなフレームワークですが、リスクマネジメントを戦略的に考える上では非常に重要であると考えます。
また、戦略は、戦術に落とし込んで、実行に移すことで細分化させ、それぞれでPDCAサイクルを高速で回すことで、仮説をより現実的なものにブラッシュアップする取り組みを推進します。
今後も、常に現状に満足することなく、お客様にご信頼をいただける最善の「BCP」を構築し、「BCM」を推進して参ります。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma) 代表取締役社長