マネジメント「営業のあり方」
- 2018.06.20
|マネジメント
人は一人で成すことには限界があります。
故に同じ目的を持った人たちと共に組織をつくって活動します。
企業も、その組織の一つです。
故に構成する一人一人は、その目的を共有し、それを果たすためにコミュニケーションを取って貢献する必要があります。
企業が目的を果たす上で重要なのがマネジメントです。
このマネジメントを開発したとされるのが、ピーター・F・ドラッカー氏です。
その著書である「マネジメント 基本と原理」の中で、「マネジメントは、組織に特有の使命、すなわち、それぞれの目的を果たすために存在する。」と示しております。
そして、組織である企業にとっての目的を同書の中で、「企業の目的の定義は一つしかない。それは顧客を創造することである。」と示されております。
つまり、企業にとってのマネジメントとは、「顧客の創造」を果たすために必要なものである訳です。
従来、「顧客の創造」の最前線に立って来たのは営業です。
ところが、ドラッカー氏は、マネジメントの重要な機能としてマーケティングをあげ、「マーケティングの目的は、販売(営業)を不要にすることだ。」とまで明言しています。
実際に、ネット通販が躍進している時代です。
特に、消費者と直接取引するBtoCのビジネスモデルでは顕著で、実店舗の企業は苦戦を強いられています。
また、ネット通販が難しいとされていた企業間取引であるBtoBのビジネスモデルにおいても、成功している企業が存在するようになりました。
企業においては、営業のあり方が問われる時代となってきました。
|付加価値の提案
マーケティングの市場や顧客からの視点による自社分析を3C分析といいます。
3Cとは、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)を意味します。
「顧客の創造」を実現させる上では、常に顧客と課題の定義が出発点であることを認識しなければなりません。
その意味でも重要になってくるのが、価値提案です。
しかし、単なる価値提案では、企業あるいは営業としての存在意義はありません。
如何に、付加価値であるバリュー・プロポジションを提案できるかが重要となります。
バリュー・プロポジション(Value Proposition)とは、USP(Unique Selling Proposition)とも呼ばれるもので、自社が提供できる価値(Company)であって、他社が提供できない価値(Competitor)であり、尚且つ、顧客が望んでいる価値(Customer)です。
これは、そのまま3C分析であることが理解できることと思います。
バリュープロポジションとは、自社のとっての強みであるに他ならないと考えます。
先のドラッカー氏の「マーケティングの目的は、販売(営業)を不要にすることだ。」ですが、決して、営業不要論ではありません。
従来の営業、特に日本の営業は、ロジカルというよりは感情優位であったがために、お客様との関係性が特に重視されました。
結果、ドブ板営業と称されるように、足蹴くお客様の元に通い続けるスタイルが賞賛されました。
実際、感情の生き物である人間である以上、その関係性が重要なことは否定しません。
しかし、本来の営業としての職務が、それで蔑ろになっていた可能性も否定できません。
マーケティングが担うものとは、本来、営業が担うべき職務である顧客に対してバリュープロポジションを提案することに専念させることなのだと私は捉えています。
|営業の職務
ベンカンでは、配管機材製品を開発、製造、販売しております。
そのビジネスモデルは、BtoBモデルと呼ばれる企業間取引です。
しかし、一般的なBtoBモデルとは異なります。
その取引先は、製品を使用して配管を施工される業者様となるからです。
つまり、実際の需要家は、業者様が施工された配管を購入される施主様となります。
ベンカンの製品は、汎用品とは異なり、施工される業者様の手が加わって初めて配管として完成します。
また、消費財ではなく、長くご使用いただく耐久財となります。
そのため製品開発では、施主様にご提案する施工が完了した配管としての性能が求められるだけではなく、施工される業者様の要望を汲み取った施工性を検討する必要があります。
更に販売したら役目が終わるものではなく、施工前の講習会の実施や施工中の状況確認や施工後に施主様に引き渡された配管のアフターフォローも重要です。
この営業としての職務の中に、バリュー・プロポジションの提案が基軸として盛り込まれていることが非常に重要であると考えています。
現在、ベンカンが取り組んでいるのが、そもそものバリュー・プロポジションの再認識です。
ここを誤った解釈をしてしまうと、単なる安値販売で終ってしまいます。
もちろん、一定の性能の製品を安く販売することは、顧客にとって価値であることは間違いありません。
しかし、その様な顕在的な価値には限界があります。
これからは、サンタクロースのミッションのパラダイムチェンジでも気付かされるように、顧客も気づいていない様な潜在的で価値の高いバリュー・プロポジションをご提案できるかが大切になってきます。
正直、まだまだ、満足できるような「バリュープロポジション」を創造するまでには至っておりません。
しかしながら、様々な切り口から、確実に取り組みを推進しております。
きっと近い将来、皆様にご満足のいただける価値あるご提案が出来るように継続して参ります。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma) 代表取締役社長