マネジメント「戦略人事」
- 2020.10.10
|戦略人事
企業とは、その保有する経営資源を日々の事業活動へ投入して利潤を追い求める存在です。
経営資源とは、一般的にヒト、モノ、カネ、情報といわれています。
この経営資源を必要な部署や取り組みに供給するのも、インフラストラクチュアの取り組みとなります。
なかでも、筆頭の「ヒト」、つまり人事の重要性が高まっています。
従来型の人事とは、労務・法務などの制度やマニュアルなどのオペレーション業務ばかりに固執した保守的、定型的な前例主義がほとんどでした。
対して、現代では、労働力不足が深刻化していることや、それを補う意味での機械化の技術革新によって、人材には、よりクリエイティブ性のある能力と発揮が求められるようになっています。
反面、従来の経営戦略では、戦略的に人事を捉える意識が低かったといえます。
故に、今後は、人材と組織の側面から変革をリードしていく戦略的人的資源管理(以下、戦略人事)が重要視されています。
ベンカンの人事を振り返ると、日本経営の特徴の一つとされる年功序列、終身雇用の影響から組織規模に対して、中間管理職の比率が高い状態が長年続きました。
この傾向の問題は、組織の意思決定速度が遅くなったり、一般職、特に若手の自律が損なわれ易いともいわれています。
|組織形態の見直し
組織形態は様々ありますが、ベンカンでは、その規模からしても、一般的な機能別組織(あるいは職能別組織)を布いております。
例えば、営業、生産、技術、管理などのように機能別に部署を分けた組織です。
一般的に組織の縦割り問題が指摘されることがあります。
本来は、同じ目的を果たすための組織の一員であるはずが、組織を縦割りすることで、干渉し合わなくなり、セクショナリズム、そしてエゴイズムが生じてしまうことです。
実際、製造と営業、あるいは営業とマーケティングなどのコミュニケーションが芳しくないという話は、よく耳にするところです。
実際、ベンカンにおいても、まったく、その様な事例がない訳ではありません。
しかしながら、組織が発展するためには、このセクショナリズム、そしてエゴイズムは決してあってはならないものであるはずです。
また、縦割りだけではなく、経営、管理職、一般職といった階層別の横割りのコミュニケーション問題もあります。
そこで、ベンカンが目指す組織形態は、マトリックス組織と呼ばれるものです。
基本は、機能別組織ですが、それぞれを横ぐしで通す機能を設定するようにしております。
まず、経営会議と呼ばれる組織は、役員と各職能別部署の部長が所属し、互いの取り組みを共有し合う関係を構築しています。
この経営会議によって、決して、部署間でのセクショナリズムが生じない体制を目指し、それを維持させます。
また、案件毎にタスクフォース的な部署横断型の委員会やプロジェクトチームを発足させ活動を促す様にしています。
|ジンザイ活用
大手企業であれば、間違いなく人事部などの専門部署があると思います。
人事の仕事といえば、一般的には、 人事企画、 採用・雇用、労務管理、 教育・育成、 制度・環境の整備、労務管理などとなります。
ある意味、定型業務と捉える傾向があろうかと思います。
しかしながら、変化が激しく、先行きが読めない環境といわれる現代において、逸早く、かつ柔軟な意思決定と行動が求められます。
組織には、目的や目標を達成させるための適所が必要です。
そして、その適所に、戦略的に適材を配置させることが重要であると考えます。
逆に人材不足から、妥協して適材に合わせた適所をつくっていたら、組織そのものの目的や目標から逸れた人事となってしまいます。
ベンカンでは、組織のフラット化を進めています。
まず、必要以上に増えてしまった課の統合などを行うことによって、多かった中間管理職層の圧縮を進めました。
これによって、経営や各部署の意思が統制が取れた形で組織に対してトップダウンできるようになればと考えております。
また、中間管理職を減らすことで、一般職に対しての権限委譲を進め、その自律を推進させようとしております。
フラット組織や前出のマトリクス組織は、一般職のジンザイ育成にも効果があると捉えています。
それによって、一般職の現場単位で発生する機会や問題に対して、直接、対峙する機会を与えて行きます。
加えて、若手人材中心の一般職に重きを置いたフラット組織だけでは難しい点も無視できません。
そこで、従来は、横一線で参加を義務付けていた教育から、各自が自分の選択で自由に参加できるキャリアアップ研修制度を実施することにしました。
また、ベテラン人材に対しては、経験値が高いだけに、間違いなく能力が高いはずです。
しかし、そのベテランの適所を誤ると、その高い能力を発揮できない環境になってしまいます。
そのため、管理職、若手、ベテランに関係なく幅広い世代に向けたコンピテンシー評価制度、シニア人材の力を有益に活用できる人事制度
などを運用しております。
その他、企業の理念や提供価値を浸透させるための経営理念勉強会などの社員教育、フリーヒアリング
などを徹底させて、インターナルブランディングの強化にも努めて行きたいと考えております。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma)
取締役 最高執行責任者(COO) 兼 執行本部 本部長