コミュニケーション「インサイド・アウト」
- 2012.12.06
|コミュニケーション
組織は社会における機関であり、社会やコミュニティー、個人のニーズを満たすために存在します。
企業の場合は、それらのニーズを満足させ、顧客を創造することが目的となります。
そのため組織を構成する部署あるいは個人が、それぞれの機能を持ち、目的を達成するために共依存関係で繋がることが大切です。
その意味でも、組織には、コミュニケーションが絶対に必要となるのです。
コミュニケーションですが、社会学的には、社会組織の中で、それを形成する人間の間で行われる知覚、感情、思考の伝達と言えます。
また、心理学的には、自分自身との対話もコミュニケーションとも言えるようです。
つまり、優れたコミュニケーションとは、人間から人間に知覚、感情、思考などの情報が正確に伝わることと解釈されます。
組織では、優れた主張が必ず認められるとは限りません。
組織の中で自分の主張を認めてもらうには、良好なコミュニケーションが必要であり、それには、信頼関係(ラポール)を築くことが前提だからです。
そのために日頃から組織内での公務による立ち振る舞いや言動が信頼関係を左右します。
|インサイド・アウト
中国の古典に「論語」があります。
儒学の祖である孔子が亡くなった後に、弟子達が問答などをまとめた思想書です。
その中の孔子の言葉に『君子は諸(これ)を己に求め、小人は諸を人に求む』があります。
優れた人は問題の責任を自分の中から求めるが、愚かな人は他人に責任を求めると言う意味になります。
人間心理の考え方において、相手から信頼や情報を得たいのであれば、まず相手より先に自分自身のことを話すことが効果的といわれています。
これは、自己開示効果と呼ばれており、「自己開示」された相手は、それに応えてくれようと感じる傾向が強くなるとされています。
これは、「返報性の原理」の一種でもある「好意の返報性」と呼ばれ、人は好意を受けられると、それを返したくなるという心理特性です。
反対に、嫌いになれば、相手から嫌われる可能性も高まるので要注意です。
人間なんて、一人で出来ることには限界があります。
だからこそ、組織の力が必要となります。
一人の限界は、どれだけ多くの理解者を増やせるかにより広がるのだと思います。
そのために欠かせないのが、コミュニケーションです。
自己啓発書あるいはビジネス書として長年に渡ってベストセラーである「7つの習慣」があります。
その冒頭で基幹的な考えとして出てくるのが、「インサイド・アウト」のパラダイム(モノの見方)です。
一般的な人間の思考として、うまく行かない場合、問題は自分にあるのではなく、上司だったり、部下だったり、お客様だったり、組織だったり、環境が悪いと考えがちです。
それを自分自身(インサイド)ではなく、外部環境(アウトサイド)に問題原因があると主張するアウトサイド・インのパラダイムと言います。
対して、「インサイド・アウト」のパラダイムでは、「外部環境(アウトサイド)を変えたいのであるならば、まずは自分自身(インサイド)から変えることが前提」となる訳です。
この「インサイド・アウト」のパラダイムは、良好なコミュニケーションを行うための前提なのかと考えます。
|農業の法則
勿論、「インサイド・アウト」を心がけたからと言って、容易に外部環境(アウトサイド)が変わるものではありません。
同じく「7つの法則」の中に「農業の法則」があります。
それは、「蒔いたものしか、刈り取ることはできない。」と言う考え方のことです。
農場においては、台風などの災害などもありますので、絶対に収穫できるとは限りません。
しかしながら、そもそも種を撒かないことには始まりません。
「インサイド・アウト」のパラダイムを持って「自己開示」するのは、特にシャイといわれガチな日本人にとっては容易ではないかもしれません。
しかしながら、組織としての成果を高めるためには、組織におけるコミュニケーション力を高めることは必須事項です。
組織のコミュニケーション力を高めたいならば、まずは、種としての「自己開示」を蒔きたいところです。
しかし、そこに必要以上の成果を求めるのではなく、まずは、継続することです。
継続することで、収穫というカタチで、組織のコミュニケーション力が高まることを期待したいところです。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma) 代表取締役社長