マネジメント「脊髄反射」
- 2012.05.19
|マネジメント
人は一人で成せる目的には限界があります。
それ故に、より大きな目的を果たすために、同じ意志を持った人たちが集って組織を形成します。
企業も何らかの共通の目的を持った人材たちで構成された組織です。
しかしながら、個々が同じ目的を共有していても、それを実現させるための方法論は、それぞれです。
また、それぞれの能力も均一ではありませんし、それぞれに、長所もあれば、欠点もあります。
更に、目的を達成するための多岐に渡った要素が、企業の中に存在しています。
それらを統括して、成果を上げるための機能がマネジメントであり統率する役割を持つのがマネジャーです。
現代は、VUCA環境とも例えられるように、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)な時代といわれています。
今日の正しい選択が、翌日には誤った選択になっている可能性もあります。
せっかく訪れたビジネスチャンスも、判断が遅れてしまえば、逃すどころか、逆にピンチを招く可能性もあります。
翻せば、ピンチであっても、逸早く対処することで、逆にチャンスになる可能性すらあります。
故にマネジメントでは、スピードが重要な要素の一つともなります。
|組織
組織には、マネジメント以前に、不可欠な三要素があります。
まず、前述の通り、参画する個々が、目的を共有していることです。
そして、それぞれが組織の目的を達成するために、貢献しようとする意欲を持っている必要があります。
しかし、しれだけではありません。
参画する個々が、常に適正な情報を共有すべくコミュニケーションがとれることが欠かせません。
この三要素が成立していなければ、どんなにマネジメントしようとも成果は高まりません。
それどころか、そもそも共有されていたはずの目的にギャップが生じたり、互いの業務や権限のコンフリクト(軋轢、対立)を起こしたりしてしまい、組織は崩壊してしまいかねません。
組織を生物学で捉えてみます。
経営を脳、現場を指先としてみます。
普通の神経伝達では、何かを掴もうとした時、脳は脊髄を介して指先に指令を出します。
対して指先は、5本の指を連携させて、指令を受けたものを掴もうとします。
その時に、5本の指がお互いに勝手な動きをしてしまったら、指令に従うことは出来ません。
それでは、何事も、脳の指示に従っていたら良いのかです。
先述で、指先を動かすには、脳が指令を出すといいました。
しかし、例えば、熱い鍋に触った時に指先で触れた熱い情報を脊髄を介して脳に伝達し、更に脳の指令を、また脊髄を介して指先に指示を出しているかです。
そもそも、それでは大やけどを負ってしまうかもしれません。
|脊髄反射
緊急事態に対応するために、逸早く指先を動かすのが反射(脊髄反射)です。
指先の情報は脊髄に伝わり、脊髄が脳の代わりを務め、即座に指先に離す指令を出します。
この場合の指令は脳を経由していないので、無意識に指先を動かすことになります。
これは会社組織とて同様です。
確かに通常は、脳であるマネジャーの指示を仰いで、各スタッフは行動しているのかと思います。
しかし、例えば、災害時などの緊急事態でどうかです。
ここで、判断や行動が遅くなれば、大惨事になる可能性もあります。
組織には、このような事態に対応できる反射の様な迅速な対応力が必要です。
何もないところから判断する能力も必要かもしれませんが、ベンカンでは、そのために何を大切に行動するかの指針を用意しています。
ー行動指針ー
私たちは ビジョンの実現に向けて 誠実に ミッション遂行に取り組みます
1.お客様の声に耳を傾け、その声に お応えすべく全力を尽くします。
2.独自の価値を創造すべく、 常にチャレンジし続けます。
3.安心・安全な社内環境づくりに務め、モチベーションの高い職場であることを目指します。
4.経営と社員をはじめとした ステイクホルダー※ へ還元するための、正当な利益を追求します。
5.社会において、事業と事業以外に関わらず、その存在意義を高めることに努めます。
6.社会的責任を果たし、公正な企業活動を通じて、正しい情報の共有に務めます。
※ステイクホルダーとは、社員、顧客、取引先などの全ての利害関係者を意味します。
緊急事態で判断に迷ったら、このビジョンとミッションに則した行動指針に従います。
しかし、現実的には、この行動指針では、アバウト過ぎて、実際の行動に落とし込むのは難しいのかと思います。
結果的には、自分自身で脊髄反射して決断しなければならないことを常に意識する必要があります。
指示待ちだけでは問題解決はできませんので、故に日頃からエンパワーメント(権限委譲)を推進致します。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma) 代表取締役社長