マーケティング「デマンドジェネレーション」
- 2012.05.21
|マーケティング
企業は、目的を持った存在です。
マネジメントで知られるドラッカー氏は、その著書の中で、企業の目的は「顧客の創造」と提唱されています。
そして、その目的を果たすための第一の機能が「マーケティング」であるのだと紐解いています。
「マーケティング」ですが、ドラッカー氏は、「マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。」と説いております。
しかしながら、日本のマーケティングは、先進国であるアメリカとくらべて15年程、遅れているといわれています。
そもそも50年前に日本に入ってきたマーケティングとは、リサーチ(市場調査)でした。
その後、ブランディングなどと呼ばれる部分が取り組まれ現在に至ります。
しかし、ブランディングで、ダイレクトに売れるのは、BtoCのビジネスモデルです。
つまり、企業(business)がダイレクトに顧客(customer)に販売することです。
ところが、BtoB、つまり、企業(business)が企業(business)に販売するビジネスモデルでは、そう単純なものではありません。
実は、日本が遅れているというのは、このBtoBのビジネスモデルにおいて、ブランディングから、営業につなげるための営業案件を創出するためのマーケティングだといわれています。
|BtoBマーケティング
マーケティングの考え方の中で、消費者が商品やサービスを購入するまでの心理状態のプロセスを法則化したのが、AIDMAモデルです。
AIDMA(アイドマ)モデルとは、Attention(注意)、 Interest(興味・関心)、Desire(欲求)、 Memory(記憶)、 Action(行動)の頭文字を取ったものです。
また、これらを「認知段階」、「感情段階」、「行動段階」と大きく3つに分類します。
BtoCの場合、 「行動段階」が目的となりますので、ブランディングによる「認知段階」からダイレクトにつながりやすいといえます。
対して、BtoBの場合は、「行動段階」は何らかの課題を解決するための手段となります。
そうなると、ブランディングによる「認知段階」から、「行動段階」につなげるには、「感情段階」の取り組みが重要であり困難極まりなかった部分となります。
「感情段階」と称される通り、人の感情にアプローチして訴求することとなります。
故に、この段階ばかりは、パーソナルアプローチといわれる営業活動でなければ対応できないとの考え方が定着していたのです。
マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることです。
この「感情段階」の取り組みこそが、BtoBマーケティングにおいて、必要な活動であるといえます。
|デマンドジェネレーション
ブランディングによる「認知段階」にある見込み客を「感情段階」、そして限りなく「行動段階」まで育成する活動のことを[デマンドジェネレーション(demand generation)]といいます。
右の図は、そのプロセスをファンネル(漏斗・じょうご)で表しています。
見込み顧客の[情報収集(リードジェネレーション] > 見込み顧客の[啓蒙・育成(リードナーチャリング)] > 見込み顧客の[絞り込み(リードクオリフィケーション)]から成り立っています。
ブランディングといえる[情報収集(リードジェネレーション)]では、インバウンドパーケティングともいわれるように、見込み客を呼び込みます。
具体的には、展示会、Web、営業の名刺交換などからえた見込み顧客のレスポンス情報を獲得します。
ここでは、先入観や思い込みなどで、余計な取捨選択をせずに間口を広くして、より多くの情報を収集することが重要となります。
しかし、[情報収集(リードジェネレーション)]で獲得した見込み顧客情報は、BtoBの場合、即購入とはなり難いといえます。
そこで、獲得した見込み客に対して、有益な情報を提供することで、潜在的ニーズを探ります。
その上で、ニーズに応えられるような製品やサービスの情報を提供することで、見込み客の購買意欲を育成するのが[啓蒙・育成(リードナーチャリング)]です。
そして、育成した見込み客の中から、最も購買意欲が高いと思われる方々に絞り込んで営業に情報を渡してパーソナルアプローチにつなげるのが[絞り込み(リードクオリフィケーション)]となります。
重要なのは、必要ではない方に、無用な営業のパーソナルアプローチをしないということです。
これは企業側の生産性もそうですが、顧客側にとっても、煩わしい営業を受けずに済むことになります。
製品やサービスを必要としている見込み客にだけ営業する仕組みともいえます。
理想論と取られるかもしれませんが、今後のマーケティングに必要な仕組みになろうかと思います。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma) 代表取締役社長