マネジメント「ボトムアップ」
- 2019.09.17
|マネジメント
人は一人で成せる目的や目標には限界があります。
それ故に、人は、より大きな目的や目標を実現させるために、同じ意志を持った人たちと組織を形成します。
そして、その組織において、成果を上げるための機能がマネジメントとなります。
マネジメントでは、常に変化する先行きの見えない環境と対峙して成果を上げる必要があります。
そのための基本ともいえるフレームワークが、PDCAサイクルです。
PDCAとは、[Plan(計画)]、[Do(実行)]、[Check(検証)]、[Act(改善)]の頭文字とったものです。
そもそもの計画(P)には、先行きの見えない状況で立案するため仮説要素が含まれています。
その意味でも実行(D)によって、計画(P)と実態を検証(C)する必要があります。
これによって、計画(P)段階の仮説要素が確証と変わり、質の高い改善(A)の実行に結び付けることが可能となります。
このPDCAサイクルを何度も回すことで、成果に結び付き易くなるといえます。
極端ですが、組織が成果を上げるには、成果があがるまで、このPDCAサイクルを回し続けることであるともいわれるくらいです。
|ボトムアップ
PDCAサイクルですが、組織に、1つではありません。
経営層(トップ)であれば、限られた数しかありませんが、実務層(ボトム)に落とし込まれる過程で、複数に分解されます。
翻せば、実務層の複数のPDCAサイクルを結合させると、経営層のPDCAサイクルになることを意味します。
組織におけるトップダウンとは、このPDCAサイクルを分解して、実務層に落とすことといえると思います。
問題は、実務層のPDCAサイクルです。
ここで正しくPDCAサイクルが回されることで、経営層に対して、情報がボトムアップされる必要があります。
組織には、262の法則が成り立つと言われています。
つまり、組織に属する「ジンザイ」は、「優れた人材」の2割、「残念な人材」の2割、そして、その間の「惜しい人材」の6割に自然と分かれるといわれています。
組織のボトムアップ能力を高めるためのキーパーソンは、「優れた人材」にシフトアップできる可能性がある「惜しい人材」たちの意識と行動の改革なのだといえます。
人材育成コンサルタントである 大塚 寿 氏は、「惜しい人材」の特性を次のように表現されています。
① やるべきことはわかるのに、常に受け身
② 意見は持っているのに、伝えてこない
③ 頑張っているのに、ズレている
④ 能力があるのに向上心がない
⑤ いいヤツなのに、なぜか人に好かれない
⑥ チャンスがあるのに、負けることを恐れる
|惜しい人材
組織のボトムアップ能力を高めるためにも、先述の「惜しい人材」を克服する必要がありそうです。
① やるべきことはわかるのに、常に受け身
そもそも、やるべきことがわかっていること自体は素晴らしいことです。
しかし、行動が、マネジャーからの指示待ちなのであれば、やるべきことをわかっていないのと大差ありません。
やるべきことは、やるべきこと(正しいこと)なのですから、積極的、能動的に動かねばなりません。
② 意見は持っているのに、伝えてこない
クリエイティブな仕事をする上で、独自の考えを持つことは重要です。
しかし、必ずしも自身の考えが正しいとは限りません。
しかし、声に出さなければ、正しいとも、正しくないとも相手に伝わりません。
③ 頑張っているのに、ズレている
そもそも、頑張らない人は話になりませんが、頑張っているからといって評価されるものでもありません。
頑張っているとの自己評価が必ずしも、組織を統括するのマネジャー(上司)の評価基準と合っているとは限らないからです。
結果、頑張っているつもりでも評価されない。つまり、成果がでません。
④ 能力があるのに向上心がない
能力とはスキルのことではなく、持ち得たスキルを発揮してこその能力です。
故に、能力を高めたいならば、まずは、スキルを高める努力が必要です。
そして、どんなにスキルを高めようとも、それを発揮しなければ宝の持ち腐れであることを自覚すべきです。
⑤ いいヤツなのに、なぜか人に好かれない
ここでの好かれるとは、上司や仲間からの信頼に値すると思います。
どんなに性格の良い人でも、信頼させる仕事をしない人には、結局、大切な仕事が集まることはありません。
⑥ チャンスがあるのに、負けることを恐れる
もちろん、失敗するより成功した方が良いに決まっています。
しかし、仮説要素が多ければ、誰でも失敗の可能性があります。
最悪の結果も想定することが大切ですが、失敗を恐れずチャレンジすることが大切です。
今後も組織の成果を高めるためにも、「惜しい人材」たちが、ボトムアップできる人材に成長するため課題を克服してくれるような人材育成に努めて参ります。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma) 代表取締役社長