マネジメント「能力の差」
- 2012.08.16
|マネジメント
人は、一人で成せることには限界があります。
それ故に、同じ目的を持った人たちと組織を形成します。
企業も組織である以上、その目的を果たす必要があります。
そのための機能がマネジメントです。
故に、マネジメントは、経営者や組織を司るマネジャーが機能させるものと考えられがちです。
実際、組織を構成する個々は、組織の目的を共有していても、それを実現させるための方法論は、それぞれです。
また、それぞれの能力も均一ではありませんし、それぞれに、長所もあれば、欠点もあります。
その様な状況下にあって、組織をして成果をあげさせるためにマネジャーはマネジメントを機能させます。
しかし、組織に属する個人が、自分自身のマネジメントまでをマネジャーに委ねるのとは違います。
組織のマネジメント以前に、まずは、そこに属する個人が自分自身のマネジメントを行うことが重要となります。
その上で、組織の目的を果たすために、個々の能力を把握してマネジメントするのがマネジャーの職務です。
|潜在能力
個人が自身に課せられた職務を遂行する上で必要なのが持ち得た能力です。
まず、必要になってくるのがナレッジです。
ナレッジ(Knowledge)とは、目的を果たす上で必要な蓄積した情報や実績を基にしたあらゆる知識です。
基本的に言語化された情報ですので、書籍、新聞、情報誌や講演会、セミナーなどで得ることが可能です。
しかし、勘違いしてはならないのが、ナレッジそのものが能力ではないということです。
勉強熱心な方の中には、速読などを駆使して大量の書籍を読んだり、著名な講師の講演会やセミナーを毎月のように受講されています。
しかし、読解力なくして、書籍などの情報を理解することはできません。
また、多くの企業が、ナレッジマネジメントとして、有益性の高い情報や付加価値のある体験を言語化してデータベース化する取り組みが進んでいます。
つまり、得た情報をロジカルに言語化する必要があります。
ナレッジとは、言語化力、読解力、そしてロジカル思考力が問われてくる能力であると捉えるべきです。
しかしながら、情報を共有できたから、実践できるものではないことを自覚しなければなりません。
そこで必要になってくるのがスキルです。
スキル(skill)とは、専門的な技術のこととなります。
もちろん、ナレッジは必要です。
ナレッジを理解した上で、それを実践に反映させるのは、専門性が高くなれば、なるほど容易ではありません。
正に反復練習、訓練、多くの体験が必要です。
良く理解しておかなければならないのが、ここでのナレッジやスキルは、自身が持ち得た発揮可能な潜在能力ということです。
|能力の顕在化
能力を評価する上で、潜在能力を対象にすべきではないと考えています。
結局は、どんなに潜在能力が高かろうとも、それを発揮して顕在化させなかればマネジメントとして評価できないからです。
そこで、社内では、持ち得た潜在能力ではなく、発揮した顕在能力で人事評価するように定義づけています。
正直、潜在能力を高めるのは、簡単ではないですが、不可能でなはないと思います。
また、ある意味、職務として強制的に身に着けさせることも可能なのかと思います。
しかし、それを発揮するのが思いのほか難しいのが人です。
これまで発揮していなかった潜在能力を発揮することは成果を高めることができる筈です。
ところが、人が無意識に得するよりも損することを避けようとする損失回避の法則が働くとされています。
その心理は、現状維持バイアスとされる、人には、現状を現状のまま維持したいと思う無意識の欲求を誘発させます。
結局は、職務遂行に必要な潜在能力は持ち得ているはずなのに、それを発揮する、一歩を踏み出す勇気がない人が少なからず存在してしまいます。
その様な人を、トップダウンで強要して一時的に動かすことも可能かと思います。
しかし、それでは継続性が生まれませんので、根本的な解決にはなりません。
結局は、能力とは、ナレッジ、スキルの潜在能力を高め、それを活かして、やり抜こうとするマインドの強さなのだと考えます。
本人が、能動的に自分の職務を理解し、それを果たすために意識して、行動に移す以外にないのだと思います。
よって、指導する立場としても、決して諦めることなく、潜在能力を発揮しようとしない閉鎖的なマインドを破り、積極的に能力を顕在化しようとできる組織、そして個人にマインドセットしてくれるようにフィードバックを投げ続けて行きたいと思います。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma) 代表取締役社長