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コラム

製造業のアーキテクチャ

  • 2019.04.18

|アーキテクチャ

 

一般の方々には聞きなれない用語かもしれませんが、「アーキテクチャ(architecture)」とは、建築そのものや建築構造、建築様式、建築学、建築術など基本的な設計思想のことを指します。

 

最近では、構築の概念から、経営における基本的な事業設計の思想や概念を意味するようにもなってきました。

例えば、日本の製造業で考えた場合、その強みは、現場力ともいわれる通り、現場における組織力が高さであると評価されてきました。

 

それ故に、アーキテクチャも「インテグラル型」と呼ばれ、それを活かして国際的な競争力を磨きました。

インテグラル(integral)とは、日本独自のモノづくり文化とも、擦り合わせ、調整とも捉えられています。

製品にもよりますが、複雑な構造であるほど、様々な部品が存在し、それぞれの関係部署や関係者との擦り合わせが必要となります。

 

対するのが「モジュラー型」で、擦り合わせ工程を不効率とした設計思想です。

モジュラー(modular)とは、組み合わせを意味します。

つまり、製品を構成する部品と部品の相互依存性を低くすることで、規格化された共用可能な部品を適切に選択、使用して製品を開発します。

 

 

|モジュラー型

 

「インテグラル型」から「モジュラー型」に移行する取り組みを「モジュール化」と呼んだりします。

 

住宅でいうところの分譲住宅であり、同じ間取り、同じ壁材、同じ設備などを共用した建築されます。

マンションなどは、その典型の建物といえるかと思います。

 

「モジュール化」が進むことで、個別の部品の開発担当者が他の部品との調整を考えずに開発を進められる様になります。

それによって、単に相互調整のコストや時間の削減だけではなく、開発担当者が本来の開発に集中させることが可能となり、より開発スピードを高めることが可能となります。

 

また、生産の段階によっても、規格部品や市販部品を活用したり、競合企業とアライアンスすることで、調達が容易になったり、スケールメリットによりコストを抑えることも可能となります。

万能であるかのように捉えられる「モジュール型」ですが、各部品が独立して開発されるために、そこに擦り合わせという概念がありません。

 

それによって、製品全体としては、逆に余分な機能やコストが発生してしまう場合もあります。

 

アライアンス戦略

 

|インテグラル型

 

日本の製造業は、賃金格差を背景に「オフショアリング」を推進してきました。

ショア(shore)とは、岸を意味します。

 

つまり、「オフショアリング(offshiring)」とは、国内の岸を離れ、主に労働賃金を安く抑えることが可能な海外に全部、または一部の生産を委託することをいいます。

モジュール化によって、オフシュアリングをより円滑に進めることが出来たといえそうです。

 

ところが、「リショアリング」を推進する製造業も増えつつあります。

「リショアリング(reshiring)」とは、「オフショアリング」で海外に出した生産を国内に回帰させる考え方です。

 

中国を始めとした海外の賃金は上昇していますが、それでも日本との格差はまだまだ大きいのが現実です。

しかしながら、「インテグラル型」の思想は、自動化などによって圧倒的な生産性の高さを生み出すというのです。

これは、「オフショアリング」を経験したからこそ分かった「インテグラル型」の強みだったといると考えます。

 

また、規格型である「モジュラー型」の製品は、他の製品との性能による差別化が要素が少なくなることを意味しています。

特にスケールメリットによるコストダウンが活かしきれない中小規模の企業の場合には、むしろ、「インテグラル型」で差別化提案した方が利益を生み出せる可能性もあります。

住宅でいうところの注文住宅ですので、お住まいになる方々のライフスタイルに合わせた価値の高い設計が可能です。

 

また、擦り合わせ、あるいはアライアンスの発展型として、共同開発などのオープンイノベーションの考え方も出てきました。

限界のあるモジュラー型の設計思想から、限界のないオープンイノベーションは、価値ある製品設計には、大きな刺激となりそうです。

 

オープンイノベーション

 

 

|今後のアーキテクチャ

 

結局は、アーキテクチャとは、バリューチャーン的な考えになるのかと思います。

顧客のニーズを製品というカタチにする上で、如何なるコンセプトで生産されるかを考えて、製品設計の段階から最終的な価値を考えて設計しなければなりません。

 

「インテグラル型」と「モジュール型」あるいは、「オフショアリング」と「リショアリング」のどちらが正しいのかという問題ではありません。

それぞれが、メリットとデメリットを抱え合ったトレードオフの関係があるからです。

 

トレードオフ(Trade off)とは、一方を追求すれば、他方を犠牲にせざるを得ない状態や関係のことです。

つまり、例えば、コストダウンを優先的に考えた場合は「モジュール型」を選択すべきではあるいが、カスタマイゼーションを考えた場合は「モジュール型」を選択すべきなのかもしれません。

つまり、より価値の高い「コンポジェット型」の追求が今後の製造業のアーキテクチャとなって行くのかもしれません。

 

 

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  我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma) ico_sns_facebook 取締役 最高執行責任者(COO) 兼 執行本部 本部長

 

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