ステンレス配管
- 2017.03.10
- カテゴリ: 知識|Knowledge
|配管とは・・・
配管とは、パイプや継手などをトータル的に設計して、液体や気体といった流体を、目的箇所まで適切に配送するシステムのことです。
液体や気体で想起するのは、水や空気だと思います。
実際、それらが主ではありますが、プラント配管であれば油や薬品などがありますし、スライムのような流動体を流すスラリー(slurry)配管や小さいながら固体を流す配管もあります。
その中で、一般配管と呼ばれると、給水や給湯、あるいは空調配管であるように人の生活に直結にした配管を意味します。
人が生活する上で欠かせない配管ですので、ライフライン(命綱)と呼ばれたりもします。
そして、ライフラインだからこそ求められるのが、災害時に問題視される通り、如何なる場合でも供給を途絶えさせない持続可能性が重要視されます。
|ステンレス配管とは・・・
ステンレスは、正式にはステンレス鋼(Stainless Steel)であり、鉄をベースに、クロム(Cr)などを配合して人工的に造った錆びにくい金属です。
その開発は、錆びてしまう鉄の欠点を解決するためのものであることは間違いありません。
まだ、100年程度の比較的新しい金属ですが、既に一般的にも普及しおり、身の回りを見渡してただけでも、ありとあらゆる場所で見かけることができるはずです。
その特性は、高い強度、高い耐久性、優れたクリーン性、リサイクル性などです。
そして、その優れたステンレス鋼を素材とすることによって優れた配管の代表とも言えるステンレス配管が誕生しました。
しかしながら、ステンレス配管が普及するには、コストと言う大きな問題がありました。
まず、材料コストが従来の配管材と比べ割高でした。
また、配管を接合する上で、従来工法である溶接接合やねじ込み接合では、専門的な高い技術力と労力が必要でした。
結果的にステンレス配管は、優れているが高額な予算が必要な特殊な配管となってしまいました。
実際に、官公庁の施設、警察、消防署、病院、高級ホテル、軍事施設、エネルギープラント、食品工場、医薬品工場、半導体工場、浄水場、各研究所などの特殊な施設での採用率が非常に高くなっています。
|メカニカルジョイントの開発
ベンカンでは、このステンレス配管を一般配管に普及させるためにメカニカルジョイントを開発いたしました。
まず、対応するSUパイプ(一般配管用ステンレス鋼鋼管 JIS G 3448)は、溶接式やねじ込み式の接合に使うものよりも管厚を薄肉にしました。(炭素鋼鋼管の約1/3)
これは一般配管であることと、ステンレス鋼の「高い強度」を活かしてのものです。(炭素鋼鋼管の2倍・銅管の3倍)
そして、そのSUパイプをつなぐ、メカニカルジョイントは、接合品質の均一性と溶接式やねじ込み式と比べ大幅な接合時間の短縮が可能としました。(VA提案:配管の接合時間比較)
主な特徴
腐食によるサビ水(赤水・青水)や異味・異臭が発生しない。
環境ホルモンが溶出する心配がない。
生産時の二酸化炭素発生などの環境へ影響が少ない。
優れた耐久性から廃材として発生する頻度が少ない。
廃棄された場合でもダイオキシンの発生源にならない。
リサイクル率が高い。
結果的にステンレス配管を一般配管に普及させる上での問題であった材料コストと施工コストの低減が実現され、現在では、戸建住宅、マンション、公共住宅、事務所ビル、ビジネスホテルなどにも採用され幅広く普及しております。
|サステナブル配管
現在、社会的な課題の一つとされているのが、持続可能な開発目標(SDGs)を目指した「サステナブル(sustainable)社会」の構築です。
直訳すると持続性のある社会づくりとなります。
これは、建築分野においてもサステナブル建築と称して重要視され取り組まれております。
ステンレス配管は、初期費用であるイニシャルコストを他の一般的な配管材と比較すると高価になりがちです。
しかしながら、初期の状態を維持、継続させる高い性能、つまり、サスティナブルな配管であることから、イニシャルコストを含めた建物の存続期間の総コストであるライフサイクルコストで考えた場合は、十分なコストメリットを得ることも可能です。
また、耐久性が優れていると言うことは、廃材頻度も低くなり環境問題にも適正です。
更に、仮に廃材となっても、ステンレス鋼は、リサイクル性にも優れているところもメリットとなります。
以上からもベンカンと致しましては、ステンレス配管が正に、サステブル配管であると捉え、SUSTAINABLE LIFELINE®」を掲げてステンレス配管のベンカン®として、今後も普及に努めて参ります。
takehiko wagatsuma